北村大沢楽隊 《疾風怒濤 !!!》
《疾風怒濤 !!!》
"STURM UND DRANG" old times brass band
北村大沢楽隊
( off note ON-57 CD-JAPAN )
数年前、たまたま、テレビ(CS)のニュース番組で、ローカルな話題としてこの楽団を紹介しているのを観た。
その5分か10分かの時間、私はテレビの画面に釘付けになり、そのあとも、すごいものに接した感激がしばらく醒めず、呆然となったものである。
CDが出ているらしい。即オーダーした。
届いたCDが鳴りだしてほどなく、私はあまりのうれしさに吹き出してしまっていた。
エンタメの原点、音楽の原石のようなものがそこにはあった。そして〝ニッポンの元気〟のようなものも。
そうしてそれらが、まるで崖の落石のようにゴロゴロと転がり落ちてきて、その一つ一つがことごとく私の心臓を直撃したのである。
これを聴いて、音程がどうの、ヘタクソだのなんのと言うのは無粋というものであり、そういうひとには、音楽というものをわかってはれへんな、と強引なことを言ってしまいたい。
魂だ。それでじゅうぶんではないか。
「耳で聴くな。身体で聴け」とでも言いたくなるような音楽である。
ここでは、適当なカテゴリーがないので「ジャズ&フュージョン」にふっておいたが、ほんとうはこのアルバム、そんなものは超越してしまっている。強いていえば、〝ジャパニーズ・フォルクローレ〟とでもすべきかもしれない。
なにしろ、音楽の原石なのだから。
演奏は北村大沢楽隊。
メンバーは、宮城県石巻市の北村大沢地区において、普段は農業に従事する男たち。
楽隊結成は大正時代にさかのぼる。ここまでにメンバーの入れ替わりがあったが、そのスピリッツは冷めることなく受け継がれてきた。
ディスクでは、彼らに目をつけた《ちんどん通信社》のメンバーも演奏に参加している。
音楽の合間に、たとえばこんなやりとりが聴かれる。
ちんどん通信社・林氏 「今のはなんて曲ですか?」
楽隊メンバー 「わがんね(わからねえ)」
帯にある「コノオトコタチ、過激ニシテ愛嬌アリ」のコピーが秀逸。
「過激にして愛嬌」はそのとおりと思うが、私はそれ以上に、彼らの音楽が運んでくる、どことなくのどかな、なつかしい空気に惹かれる。
ジャケの写真がまた表裏ともにカッコいい。内容とも、メジャーレーベルが忘れてしまったこだわりを感じさせている。
このディスク、聞くところによると、音楽雑誌で、〝0点〟をつけられたそうな。
けっこうじゃないか!
廃盤にしたくないCDだ。




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