ジャズ&フュージョン

2009年10月28日 (水)

キース・ジャレット - 《ケルン・コンサート》

Keithkoln25
  

 先だって、キース盤をならべた。
 だが、これを抜きにしてキースは語れまい。

 すべて即興という。
 信じがたいほどであるが、ストック・フレーズをためるだけためて一気に吐き出したとしても、これだけのものができるとも思えぬ。
 まさに奇跡の名盤だ。

 20歳のころ、バイク事故を起こし、ひと月ほど入院した。そのとき、同じ病室にいたSさんに教えてもらった思い出深いディスクである。
 病院のベッドの上で、Sさんから借りたカセットを、これまた友人から借りたウォークマンで毎夜毎晩聴いた。
 ひと足先に退院が決まったときに、Sさんはそのカセットをプレゼントしてくれた。もちろん、今でももっている。
 大きな出会いだった。Sさんとは退院後、音信不通となってしまったが、私はこの《ケルン・コンサート》をいまだに聴いている。

 ちなみに、私が初めてCDプレーヤーを買おうと思ったきっかけは、この《ケルン・コンサート》がCD化されていることを知ったことだった。(※初版CDでは、パート2Cが未収録だった。) 

 夜に聴きたい。
 北海道を旅する。森のなかで焚き火をやりながら、これを聴く一夜が、かならずある。
 今年は行けなかった。
 LPをターンテーブルに載せ、ひさしぶりに聴いた。

 目を閉じて耳をかたむける。
 あの病室を思い出す。
 そして、自分はいつしか大雪の森のなかにいる。
 しあわせなんて、すぐそばにあるじゃないか。
 そんなことをつぶやく。


 ■ Keith Jarrett(p) "THE KOLN CONCERT"
   ( ECM 1064/65  LP-W.GERMANY )

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

 以下はウンチク――。
 超有名盤――というより、もはや歴史的名盤――なので今さら付記することもない。ただし、これを聴く場合、できることならCDよりもLPがよく、そしてその場合は、絶対にドイツ盤を採るべきであることを言っておきたい。

 アメリカ盤はテープ転写が激しく、冒頭部分など、ゴーストが2、3度聞こえてから実音が聞こえだす。日本盤(トリオ・レコード)でもゴーストが1度聞こえる。オリジナルのドイツ盤にそうした瑕疵はない。音にしても、やはりオリジナルの強みでドイツ盤がもっともいいような気がする。
 CDがなぜよくないかというと、音質面で不満はないものの、編集に問題があるからである。
 「LPにおける第3面の冒頭」が欠落しているうえ、にもかかわらずなにもなかったようにつなげてしまっており、まったく修正されぬまま今に至っているのだ。理解しがたい。 

 

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2009年10月27日 (火)

トニー・ベネット 《ベネット/バーリン》

Tonnyberlin025
 

 トニー・ベネットがアーヴィング・バーリンの100歳の誕生日を祝し、バーリンの唄だけで一枚のアルバムをつくった魅惑盤。
 だれ知らぬ者もない『ホワイト・クリスマス』も入っている。
 また、4曲目の"Now It Can Be Told" は、映画『あなたに降る夢』の挿入歌に使用されている。

 全盛期のパワーはないものの、さすがはベネット。枯れた味わいがすばらしい。まさにおとなの味である。
 ゲスト・プレイヤーも超豪華で、デクスター・ゴードン、ディジー・ガレスピーが参加。とくにデクスターが渋い。

 これだけのアルバムにも難点がある。
 収録時間がみじかいことだ。たったの30分しか聴けない。
 これはアンマリでっせ……。

 とにかく、これにはウィスキーだろう。
 呑みすぎ注意盤とも言える。

 日本盤のタイトルは《トニー・ベネット・シングス・バーリン》。


  ■Tonny Bennett(vo) "Bennett/Berlin"
    ( COLUMBIA CK44029  CD-CANADA )
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

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2009年10月24日 (土)

今宵もキース -  スタンダーズ・ライヴ

Keithlive5
 
 キース・ジャレット・トリオによるスタンダーズ。初期のライヴ2種。
 《スタンダーズ・ライヴ》と《スタンダーズ・イン・ノルウェイ》――。

 前者はパリでのライヴ。冒頭の長く美しいソロ、満を持して鳴りはじめるベースに鳥肌が立つ『星影のステラ』"Stella By Starlight" 、哀愁の旋律から始まり、やがては淡々とガタゴト夜汽車に揺られて行くイメージの『トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ』"Too Young To Go Steady" が◎。
 後者では、なんといっても『リトル・ガール・ブルー』"Little Girl Blue"の愛らしさ。これは、もう、どうしようもないほどいい。

 《スタンダーズ・ライヴ》はジャケもクールだ。イラストはカフカ。


 ■ Keith Jarrett Trio: Standards Live ( in Paris )
    ( ECM J33J 20080  CD-JAPAN )
 ■ Keith Jarrett Trio: Standards In Norway
    ( ECM 521 717-2  CD-GERMANY )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO


 【シャコンヌ狂時代】 川原千真 Chima Kawahara ( Ka )

 

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2009年10月23日 (金)

キース・ジャレット・トリオ 『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』

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 キース・ジャレット・トリオによる傑作シリーズ、《スタンダーズ》の第2集。
 私の◎印は、3曲目(『イン・ラヴ・イン・ヴェイン』)と4曲目(『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』)。
 どっちか、となれば4曲目、"Never Let Me Go"――。

 若かりしころ、酔って帰ると、なぜかしら、これを聴きたくなったものだ……って、今もそうですけどネ。

 そのままなら、「行かせないでくれ」だが、原曲の歌詞をみると、「見捨てないで……」というニュアンスのようです。


 ■ Keith Jarrett Trio - "Standards, Vol. 2"
    Keith Jarrett(p)  Gary Peacock(b)  Jack DeJohnette(ds)
    ( ECM J33J-20045  CD-JAPAN )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2009年10月22日 (木)

キース・ジャレット 《メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー》

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 気取りもなく、自己陶酔的奇声もない。
 いつものような、情熱をほとばしらせる彼ではない。
 おどろくほど内省的である。
 しかし、これもやっぱりキースだ。

 一曲一曲がまことに愛らしい。名工の手による小さな木彫細工のようである。
 もちろん、それぞれがそれぞれのかたち、表情をもっている。

 夜、酒とともに――もいいが、昼下がりにコーヒー飲みながら――でも悪くない。

〝珠玉〟と呼ぶにふさわしいスタンダード集です。
 

  ■Keith Jarrett (p) "The Melody At Night, With You"
    ( ECM UCCE-9206  CD-JAPAN )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2009年10月17日 (土)

北村大沢楽隊 《疾風怒濤 !!!》

Kogakutai01 Kogakutai02
 《疾風怒濤 !!!》
 "STURM UND DRANG" old times brass band 
  北村大沢楽隊
   ( off note ON-57  CD-JAPAN )


 数年前、たまたま、テレビ(CS)のニュース番組で、ローカルな話題としてこの楽団を紹介しているのを観た。
 その5分か10分かの時間、私はテレビの画面に釘付けになり、そのあとも、すごいものに接した感激がしばらく醒めず、呆然となったものである。

 CDが出ているらしい。即オーダーした。

 届いたCDが鳴りだしてほどなく、私はあまりのうれしさに吹き出してしまっていた。
 エンタメの原点、音楽の原石のようなものがそこにはあった。そして〝ニッポンの元気〟のようなものも。
 そうしてそれらが、まるで崖の落石のようにゴロゴロと転がり落ちてきて、その一つ一つがことごとく私の心臓を直撃したのである。

 これを聴いて、音程がどうの、ヘタクソだのなんのと言うのは無粋というものであり、そういうひとには、音楽というものをわかってはれへんな、と強引なことを言ってしまいたい。
 魂だ。それでじゅうぶんではないか。
「耳で聴くな。身体で聴け」とでも言いたくなるような音楽である。

 ここでは、適当なカテゴリーがないので「ジャズ&フュージョン」にふっておいたが、ほんとうはこのアルバム、そんなものは超越してしまっている。強いていえば、〝ジャパニーズ・フォルクローレ〟とでもすべきかもしれない。
 なにしろ、音楽の原石なのだから。

 演奏は北村大沢楽隊。
 メンバーは、宮城県石巻市の北村大沢地区において、普段は農業に従事する男たち。
 楽隊結成は大正時代にさかのぼる。ここまでにメンバーの入れ替わりがあったが、そのスピリッツは冷めることなく受け継がれてきた。
 ディスクでは、彼らに目をつけた《ちんどん通信社》のメンバーも演奏に参加している。
 音楽の合間に、たとえばこんなやりとりが聴かれる。

  ちんどん通信社・林氏 「今のはなんて曲ですか?」
  楽隊メンバー 「わがんね(わからねえ)」


 帯にある「コノオトコタチ、過激ニシテ愛嬌アリ」のコピーが秀逸。
 「過激にして愛嬌」はそのとおりと思うが、私はそれ以上に、彼らの音楽が運んでくる、どことなくのどかな、なつかしい空気に惹かれる。
 ジャケの写真がまた表裏ともにカッコいい。内容とも、メジャーレーベルが忘れてしまったこだわりを感じさせている。

 このディスク、聞くところによると、音楽雑誌で、〝0点〟をつけられたそうな。
 けっこうじゃないか!

 廃盤にしたくないCDだ。

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2009年7月 7日 (火)

Yさんとの思い出 - パット・メセニー 『トラヴェルズ』

 

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 ふと、どこかへ行きたくなる――。
 そんなときに浮上してくるのがこのアルバムだ。
 逆に、これを聴くとどこかへ行きたくなる、というものでもある。


 酒場でバイトしていた学生時代、店の客で顔なじみだった大阪大学の大学院生Yさんに連れられて、千里山(関西大学近く)の《華》という居酒屋へ行った。
 私は関西学院大の学生で、Yさんは阪大である。それがなぜか関西大エリアの居酒屋だった。バイト先からは、かなり距離があった。
 そこで、Yさんの後輩Oくんが合流した。大阪外大を中退して就職活動中という男で、その酒場からそれほど遠くないところに住んでいた。私は、Oくんとは初対面だった。
 3人で、そのころはマイナーだった芋焼酎をガンガン呑み、Oくんの部屋で続きをやろうとなった。
 Oくんの住まいであるマンションのバルコニーは、『さつま白波』の空瓶で埋めつくされていた。50本くらいはあったのではなかったろうか。

 前置きが長引いた。
 その部屋でOくんが流していたBGMがこの『トラヴェルズ』だった。

 朝まで呑んだのはまちがいないが、どうやって帰ったのかは憶えていない。
 それでもこのディスクのことを思い出したのは、自分の学生手帳に、乱雑な文字でアルバムのタイトルが書かれてあるのをあとで発見したからである。
 それを記したことも記憶になかった。だが、気に入ったという印象だけは、かろうじて残っていた。
 私はCDを買うことにした。関学の生協で購入したはずである。


 Yさんは、その後英米へ留学したらしい。だいぶ経ってから、テレビに出ているのを偶然観た。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で働いておられた。カブール事務所の所長をされているか、あるいはやめられた直後ではなかったか。911後、にわかにアフガニスタンが緊張しはじめたころで、それについて語っていらした。
 私はつい笑ってしまった。Yさんはやや酒乱の傾向があった。それがすまし顔で、深刻な問題について淡々と解説していたからだった。

 Yさんの引っ越しを手伝ったことがある。私のほかに、何人か友人らがかり出されていた。男一人分とはいえ、書物の量がハンパではなかった。その夜もやっぱりあの《華》へ行った。
 またある日の夜遅く、店にYさんが来て、今からウチで呑むから来い、と言う。私はバイトが終わってから、Yさんのアパートへ行った。
 宴会が始まっていた。阪大の学生が5、6人おり、みなおとなしく呑んでいた。すると、酔ったYさんが突然、腹を立てはじめた。「おまえら、暗いんじゃ!」、そう言って一人の学生をげんこつで殴ったりした。
 私は阪大とは無縁で、いわば彼らの輪の外から来た人間だった。おもろいとは思ったが、このまま傍観するわけにもいかない。
 だれも止めそうにないので、私がYさんを羽交い締めにして抑えた。するとYさんがまた怒った。私にではない。むしろ、私はほめられた。「身体をはって止めるんはこいつだけや! おまえら根性ないんや!」と学生らに向かってわめきちらした。たしかに、我関せず、といった感じの連中だった。
 卒業したら(※そのころは卒業するつもりでいた)記者になるつもりだ、と言うと、これくらい読んでおけ、と言って、林達夫や、宮武外骨の本をくれたりした。
 ロバート・B・パーカーの『愛と名誉のために』をすすめられたりもした。主人公が、酒に酔ってベロベロになるシーンがある。私はカウンターでYさんが『火宅の人』(壇一雄著)を読んでおられたのを記憶している。のんべとはそういうものなのだろうと今、思う。

 そんなことを思い出すと、やたらなつかしくなって、なんとか連絡をとりたいと思い、あちこち電話してみたが、自分がどこの馬の骨やらわからぬせいか、埒が明かない。そこで、世話になっていた新潮社の編集者に、UNHCRへ電話を入れてもらった。新潮社の看板なら、という計算があった。
 しかし、「Yさんがどこにいるのか事務所でもわからない」とひどく合点のゆかぬ回答で、埒が明かぬことに変わりはなかった。
 後日、朝日新聞(関東版)の「ひと」欄にYさんが出たのを知った。朝日新聞社に電話し、あれこれと事情を話して、Yさんのメールアドレスを教えてもらった。今ほどには、個人情報の管理にうるさくなかったようである。
 私はメールを送ってみた。しかし、返事はかえってこなかった。

 その後しばらくたってからだったか、『カブール・ノート』というYさんの本が出て、評判になっていた。版元の幻冬舎の人間とは名刺交換程度ならやっていたが、それだけで「たのむワ」とは言いづらく、『カブール・ノート』についても、そのうち手にしようと思いつつ、そのままになってしまった。


 いろんなひとと遇った。
 忘れてしまった出会いもあるだろう。
 Yさんのことを忘れられないのは、芋焼酎の魅力を教えてくれた人だからである。当時は、イモ愛飲派はごく少数で、芋焼酎自体を置いていない店も多かった。
 それを勧められて、呑むようになった。
 あれから20年が経つ。
 ネットで検索してみたら、Yさんは現在、国連の関係機関の職員をされているようだ。
 もはや、連絡をとろうとは思わない。お元気であればそれでいい。


 『トラヴェルズ』のことをさらりと書くつもりが、豪快に脱線した。
 人生はトラヴェルズ――。
 人と出会い、音楽と出会う。
 あの日、あの人と出会わなければ、この曲とも出会っていなかった――そんなことがあるものだ。

 ひさしぶりにこのアルバムを聴きながら、焼酎あおってみますかネ。
 そしてオレは、やっぱりどこかへ行きたくなるんだろうナ。


 ◆トラヴェルズ / パット・メセニー・グループ・ライヴ (ECM J58J 20083/4 CD-JAPAN)

 

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2009年5月16日 (土)

音楽には感動がある。

Atad
 
 ある日の朝刊にオーディオテクニカの広告。あたりまえの言葉に、ふと、感じ入った。
 あたりまえのことさえ、声や文字にされないと気づきにくくなっているのだろうか。
 愛用ヘッドフォンはAテクニカ製ではないが、iPod用イヤフォン、モノラル・カートリッジなどでお世話になっております。

 ところで新聞は朝日。隣は有名な『天声人語』である。深代サンのころにくらべると、かなり落ちとるね。
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

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2008年12月21日 (日)

Have Yourself A Merry Little Christmas

Kg

 クリスマス私的定番であります。
 クラシックも本格ジャズも要らない。
 この〝歌〟を聴きながら、酒。
 しんみりと愉しい。
 ココ(→)にも書きましたように、3曲目の『メリー・リトル・クリスマス』が good。名曲&名演奏。

 昼に聴いていいし、夜に聴いてもいい。
 いろいろと思い出の詰まったディスクでもあり 、とにかく highly recommended。だれかれ関係なく押しつけたくなるCD。


  KENNY G  "miracles" ( ARISTA BVCA 653 CD )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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