autumn harvest 2009 - great performances
仲秋の候――。
先週末、予約していたディスクが届いた。
新譜をこれだけまとめて買うのは初めて。じっとしておれぬようなディスクが、ほとんど同時に登場、優先順位をつけることができなかった。
まさに、収穫の秋というほかはない。すべて◎。
①ミケランジェリ&バレンボイムのシューマン(ピアノ協奏曲)
②イダ・ヘンデル&ラトルのシベリウス(ヴァイオリン協奏曲)
③ポリーニのバッハ(平均律クラヴィーア曲集第1巻)
④イブラギモヴァのバッハ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲)
ミケランジェリの弾く、シューマンのピアノ協奏曲。好きな演奏家と曲の組み合わせであるためにじっとしておれなかった。
ミケランジェリが生前、リリースをしぶったせいで、お蔵入りになっていたという。つまり〝死人に口なし盤〟である。ライヴ録音。
演奏家本人と聴き手の見解はしばしば一致しない。私にとっては、これなどもその一例となる。
ミケランジェリの演奏は色彩感に富み、きわめて明快。むずかしい字、むずかしい表現を使わず、しかも説得力がある……そんな名文のおもむきがある。
バレンボイム&パリ管は、まるでベートーヴェンかブラームスかのようなスケールの大きさで、これは好みのわかれるところかもしれない。
もしかすると、この大仰さがミケランジェリの気に障ったのか……。
両者のコンビネーションにやや難ありの感もないではないが、できあがったものが圧倒的であり、結果として大きな感動を呼び起こした。
録音も申しぶんない。
カップリングのドビュッシーも名演。
イダ・ヘンデルが昔、ベルグルンドと組んで残した旧盤を愛聴しているだけに、じっとしておれなかった。
1993年のライヴ。
名演だった旧録音に劣らぬデキだ。ラトル&バーミンガム市響もいい。
カップリングはエルガー。ヘンデルはこの曲も過去にボールトと録音していた。こちらは旧録のほうがやや上か。
ポリーニは超人気のピアニストであるが、私的にはさほど興味をもっていない。つもりが、ベートーヴェンを中心に、ディスクはけっこうもっている。実は好きなのかもしれない。
ともかく、彼が平均律を入れたと聞くと、じっとしておれなかった。
リヒテルの名盤を彷彿させる音楽性満点のバッハ。実際、よく似ている。そうとう弾きこんでいるように感じる。気合いもかなりのもの。グールドばりのうなり声も聞こえてくる。
今回は第1巻のみであるが、おそらく第2巻も早晩出てくる、と想いたい。
アリーナ・イブラギモヴァが、自身のウェブサイトでずっと前から「2009年の09月に出しますよ」と予告していたもの。その約束がどうやら守られると知り、じっとしておれなかった。
今年はすでに、アッカルド、ムローヴァによる無伴奏の注目盤が出ているが、私的期待度では、このイブラギモヴァはムローヴァよりも大きかったものである。
そして期待どおりのものができあがってきた。
アッカルド盤を「デジタル最高の無伴奏」と少々興奮気味に決めつけたが、魅力という点ではこのイブラギモヴァのバッハも劣っていない。バッハの無伴奏をこれほどチャーミングに、しかもていねいに弾いた例は、これまでほとんどなかったのではないか。
録音もすばらしい。実音と残響が混濁せず、絶妙にブレンドされている。
これはまさしく、大きな〝収穫〟だった。
J.S.Bach: The Well-Tempered Clavier Book 1, BWV846-869
Maurizio Pollini (p)
( DG )
Schumann: Piano Concerto in a minor, Op. 54
Arturo Benedetti Michelangeli (p) Barenboim / Orchestre de Paris
( DG )
Sibelius: Violin Concerto in d minor, Op. 47
Ida Haendel (vn) Rattle / City of Birmingham Symphony Orchestra
( TESTAMENT )
J.S.Bach: Sonatas and Partitas for solo violin, BWV.1001-1006
Alina Ibragimova (vn)
( hyperion )


入手難の裏名盤としては、指揮者カザルス&プエルト・リコ祝祭管弦楽団盤。どうせ海賊CDRで出ているか。これまたライヴ。

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