クラシック

2009年10月29日 (木)

900000000円

 名ヴァイオリニストのアーロン・ロザンドが愛器のグァルネリウスを手放した――というニュースがあった。
 音楽家生活から引退するのだろうか。82歳というから、そういうことなのかもしれない。あるいはすでに引退していたのかもしれない。
 彼のグァルネリウス・デル・ジェス〝コハンスキ〝は1741年製作、歴史的名器として知られていた。

 その買値が9億円。史上最高額という。
 これについては、その時代のレートというのがあるから、一概には言えないが、昨今の世界的不況を考慮すれば、実質的にもダントツの史上最高ではあるまいか。

 グァルネリウス・デル・ジェスというのは、グァルネリ一族というヴァイオリン製作の名門があり、そのなかでも名人とされたバルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリが造ったヴァイオリンをさす。
 日本人演奏家では、五嶋みどりがデル・ジェスを使っている。

 ジュセッペ・グァルネリは、ストラディヴァリとならんで、史上最高のヴァイオリン製作者とされている。
 伝えられるところでは、実直なストラディヴァリに対し、グァルネリは酒好きの女好きでだらしのないところがあったという。そんなエピソードを聞くと、私などは、グァルネリのほうに親近感を抱いてしまう。

 こういうのは、買い手が値段を決めるものだろうから、これを高いとか安いとか言うのは筋が違っているだろう。
 ともかく、この〝コハンスキ〝が、美術品扱いされて、「すぐれた」(※ここが大事)演奏家の手から遠ざけられないことを願うばかりである。

 私はクラシック音楽に親しみ、なかでもヴァイオリン音楽を好んで聴いているが、実は、いまだに楽器の音がわからない。レコードやCDを聴いて、それがストラディヴァリウスであるかグァルネリウスか、あるいはグァダニーニであるか、聴きわける自信はゼロである。
 わかるのは、それが「いい音」であるか、「そうでない音」であるか、だけだ。
 しかし、クラシックにうるさい人のなかには、「さすがはストラディヴァリウスだ」とか「グァルネリならではの……」とかそんなことを言っている人がいる。わかる人にはわかるらしい。

 話を元に戻すと、私はヴァイオリンを売ったロザンドの演奏が聴けるCDやDVDをもっている。
 その900000000円の音が入ったディスクがいくらかというと、2枚組のCD(写真右下)で2000円、DVDは香港製で10ドル、すなわち1000円足らずだった。

 ウナギ屋の前を通りかかる。高級ウナギ自体はいい値段であるが、匂いはタダだったりする。
 品のないことを想像してしまった……。

 
Rosand


 ※写真にうつっているヴァイオリンが9億円のグァルネリ・デル・ジェス。ロザンドの演奏も楽器に負けていない。とくに、写真下のバッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータはオススメです。なにしろ2000円ですからお買い得。今後は、〝史上最高額ヴァイオリンによるバッハ!〟――などという惹句がそえられるかもしれませんね。
 

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 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

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2009年10月18日 (日)

漆原朝子さんのシューベルト

1017aurushihara5
 

 漆原朝子さんのシューベルトを聴いた。
 あんな優美なヴァイオリンは、30年前に聴いたボベスコ以来かもしれない。
 ちょうど今、街中にただよう、キンモクセイの香りのようだった。
 朝子さんも、シューベルトも。

 会場を出ると激しい雨。
 傘を持たずに来ていた。
 しばらくの雨やどりも、まったく苦にならない。
 その余韻は、まるで花の残り香だった。

 よかった……。
 

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 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)
 place: 兵庫県川西市の《みつなかホール》

 

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2009年10月 5日 (月)

autumn harvest 2009 - great performances

Autumnh62 

 仲秋の候――。
 
 先週末、予約していたディスクが届いた。
 新譜をこれだけまとめて買うのは初めて。じっとしておれぬようなディスクが、ほとんど同時に登場、優先順位をつけることができなかった。
 まさに、収穫の秋というほかはない。すべて◎。

  ①ミケランジェリ&バレンボイムのシューマン(ピアノ協奏曲)
  ②イダ・ヘンデル&ラトルのシベリウス(ヴァイオリン協奏曲)
  ③ポリーニのバッハ(平均律クラヴィーア曲集第1巻)
  ④イブラギモヴァのバッハ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲)

 ミケランジェリの弾く、シューマンのピアノ協奏曲。好きな演奏家と曲の組み合わせであるためにじっとしておれなかった。
 ミケランジェリが生前、リリースをしぶったせいで、お蔵入りになっていたという。つまり〝死人に口なし盤〟である。ライヴ録音。
 演奏家本人と聴き手の見解はしばしば一致しない。私にとっては、これなどもその一例となる。
 ミケランジェリの演奏は色彩感に富み、きわめて明快。むずかしい字、むずかしい表現を使わず、しかも説得力がある……そんな名文のおもむきがある。
 バレンボイム&パリ管は、まるでベートーヴェンかブラームスかのようなスケールの大きさで、これは好みのわかれるところかもしれない。
 もしかすると、この大仰さがミケランジェリの気に障ったのか……。
 両者のコンビネーションにやや難ありの感もないではないが、できあがったものが圧倒的であり、結果として大きな感動を呼び起こした。
 録音も申しぶんない。
 カップリングのドビュッシーも名演。

 イダ・ヘンデルが昔、ベルグルンドと組んで残した旧盤を愛聴しているだけに、じっとしておれなかった。
 1993年のライヴ。
 名演だった旧録音に劣らぬデキだ。ラトル&バーミンガム市響もいい。
 カップリングはエルガー。ヘンデルはこの曲も過去にボールトと録音していた。こちらは旧録のほうがやや上か。

 ポリーニは超人気のピアニストであるが、私的にはさほど興味をもっていない。つもりが、ベートーヴェンを中心に、ディスクはけっこうもっている。実は好きなのかもしれない。
 ともかく、彼が平均律を入れたと聞くと、じっとしておれなかった。
 リヒテルの名盤を彷彿させる音楽性満点のバッハ。実際、よく似ている。そうとう弾きこんでいるように感じる。気合いもかなりのもの。グールドばりのうなり声も聞こえてくる。
 今回は第1巻のみであるが、おそらく第2巻も早晩出てくる、と想いたい。

 アリーナ・イブラギモヴァが、自身のウェブサイトでずっと前から「2009年の09月に出しますよ」と予告していたもの。その約束がどうやら守られると知り、じっとしておれなかった。
 今年はすでに、アッカルド、ムローヴァによる無伴奏の注目盤が出ているが、私的期待度では、このイブラギモヴァはムローヴァよりも大きかったものである。
 そして期待どおりのものができあがってきた。
 アッカルド盤を「デジタル最高の無伴奏」と少々興奮気味に決めつけたが、魅力という点ではこのイブラギモヴァのバッハも劣っていない。バッハの無伴奏をこれほどチャーミングに、しかもていねいに弾いた例は、これまでほとんどなかったのではないか。
 録音もすばらしい。実音と残響が混濁せず、絶妙にブレンドされている。 
 これはまさしく、大きな〝収穫〟だった。


  J.S.Bach: The Well-Tempered Clavier Book 1, BWV846-869
     Maurizio Pollini (p)
     ( DG )

 Schumann: Piano Concerto in a minor, Op. 54
     Arturo Benedetti Michelangeli (p)  Barenboim / Orchestre de Paris
      ( DG )

  Sibelius: Violin Concerto in d minor, Op. 47
     Ida Haendel (vn)  Rattle / City of Birmingham Symphony Orchestra
      ( TESTAMENT )

  J.S.Bach: Sonatas and Partitas for solo violin, BWV.1001-1006
     Alina Ibragimova (vn)
      ( hyperion )

 

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2009年9月13日 (日)

兵庫県立芸術文化センターのジェームズ・エーネス

 カナダのヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネス( James Ehnes )登場、というので聴きに行った。
 注目しているヴァイオリニストの一人だ。
 彼による、バッハの無伴奏、パガニーニのカプリースは、数多いこれらの曲集ディスクの第1集団に属する名演奏である。

 この日は兵庫県立芸術文化センター管弦楽団(PACオーケストラ - コンサートマスター: 豊嶋泰嗣)の第27回定期演奏会であり、指揮は人気の佐渡裕。
 プログラムは、

  ブラームス: ヴァイオリン協奏曲
  ドヴォルザーク: 交響曲第8番

 というもの。
 アンコールは、ブラームスの直後に、エーネスが、パガニーニ(カプリース第16番)、バッハ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番~プレリュード)。
 佐渡&PACはプログラムと同じ作曲家でそろえ、スラヴ舞曲第8番、ハンガリー舞曲第5番。

 とにかくエーネスを聴きたい一心であったので、なんともはや、ワタクシ、前日までドヴォルザークは第9番、すなわち『新世界』をやるものと思いこんでいた。
 ドヴォ8は高校生のころ、ルドルフ・ケンペのLPをよく聴いていたが、最近はめっきりごぶさた。アンコールのスラヴ舞曲にしても、これまた高校のとき聴いたチェリビダッケ&ロンドン響においてアンコールで演奏された曲として記憶されており、個人的には、なにやらなつかしい匂いのするコンサートとなった。

 私の目当ては、当然、ブラームスであった。
 ところが、おのれの感度の鈍りもあるせいか、感動には至らず。
 もっとオーケストラとソリストとの「やりあい」、対話でもケンカでも融和でもいい、相乗的な果実がほしい気がした。ただし、これは〝協演〟の問題であるので、エーネスへの評価を下げる理由にはならない。
 また彼には、協奏曲なら、ブラームスよりも、ベートーヴェンが向いているように思えた。

 感想を印にすると、以下のような皮肉なものになってしまう。あくまで私的な印象である。

  ◎バッハ
  ◎ブラームス: ハンガリー舞曲第5番
  ◎パガニーニ
  ◎ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第8番
  ○ドヴォルザーク: 交響曲第8番
  △ブラームス: ヴァイオリン協奏曲

 アンコール、つまりオマケの4曲に心を動かされた。とくにエーネスのバッハと佐渡のブラームス。
 エーネスのバッハはまさに絶品で、ディスクでの印象を裏切らなかった。
 佐渡のブラームスは、目に見えるような音のうねりが魅力で、最後の最後で「やってくれた」という思いだった。
 私は佐渡の演奏(ライヴ)を以前に一度だけ聴き、自分には合わなかったので、ディスクを一枚ももっていない。が、彼による〝ハンガリー舞曲全集〟などが出れば手を出すかもしれない。


 アーティストに対し、やたらにサインを求めぬ、という決まりをなんとなく自分に課してきたのを、今年になって2度も破った。
 前回は天才ヒラリー・ハーンであるからしかたがなかった。
 今回は、個人的に、ハーン以上にひいきのエーネスである。やはりしかたがない。それにエーネス・ファンというのは、まだ日本にはそう多くはいないだろうし、どうせ会場は佐渡裕ファン(※なんでも、〝サドラー〟と呼ばれるらしい(笑))が大部分であるだろうから、「おまえのファンはちゃんと(日本にも)おるぞ」ということを伝えたかったこともある。
 バッハの無伴奏全曲、ブルッフの協奏曲第1番&第3番、それぞれのCDにサインをもらった。後者は、デュトワ&モントリオール響との共演という豪華版である。いずれも日本盤は出ていない(※会場に開設されたCD売場に積んであるのも、9割が佐渡裕関連のものだった)。
 バッハCDのブックレットを差し出しつつ、「このバッハはホントにすばらしい!」と、つい日本語で言ってやったら、彼の横にいた人が通訳してくれた。あれくらいなら、英語で言えばよかった……。(2009年09月11日 於兵庫県立芸術文化センター)
 

Jehnes5
 

 なお、エーネスは最近、パガニーニのカプリース全曲を再録音した。旧盤のデキからすると、この曲集の決定盤になる可能性がある。今月下旬の発売見込みらしい。届くのを今から楽しみにしている。
 

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 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 
 

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2009年8月30日 (日)

シューマンのピアノ協奏曲

 8月、シューマンのピアノ協奏曲をよく聴いた。その総括。
 あれもこれもと私的7選(①をのぞいて録音年代順)。

Schumannarrau28
Schumannlipatti28 Schumannsolomon28
Schumanncortot Schumannlupu
Schumannchen Schumanngrimaud

◆Schumann: Piano Concerto in a minor, Op. 54

  ①アラウ(p) サバータ&ニューヨーク・フィルハーモニック ( 1951 LIVE )
    Arrau(p) Sabata / New York Philharmonic
   ( NIPPON COLUMBIA OZ-7547-BS  LP-JAPAN )
  ②リパッティ(p) カラヤン&フィルハーモニア管弦楽団 ( 1948 )
    Lipatti(p) Karajan / Philharmonia
   ( COLUMBIA FCX 322  LP-FRANCE )
  ③ソロモン(p) メンゲス&フィルハーモニア管弦楽団 ( 1956 )
    Solomon(p) Menges / Philharmonia
   ( HMV ASD 272  LP-UK )
  ④コルトー(p) フリッチャイ&ベルリン放送交響楽団 ( 1957 LIVE )
    Cortot(p) Friscay / Berlin Radio Symphony Orchestra
   ( MELODRAM MEL18018  CD-ITALY )
  ⑤ルプー(p) プレヴィン&ロンドン交響楽団 ( 1973 )
    Lupu(p) Previn / London Symphony Orchestra
   ( DECCA 466 383-2  CD-GERMANY )
  ⑥チェン(p) トーマス・ザンデルリンク&ロンドン・フィルハーモニック ( 1997 )
    Wendy Fang Chen(p) Thomas Sanderling / The London Philharmonic
   ( CASTLE COMMUNICATIONS MAC CD 910  CD-ENGLAND )
  ⑦グリモー(p) サロネン&シュターツカペレ・ドレスデン ( 2005 )
    Grimaud(p) Salonen / Staatskapelle Dresden
   ( DG 4775719  CD-CANADA )
  

①アラウ&サバータ盤がわれにおいて最高。
 写真は日コロムビア発行のLP。CDなら、同じソースを使用しているはず(※未確認)の米Music & Arts盤を採らなければならない。ArchipelもCD化していて安価ではあるが、音がお粗末。オリジナル・ソース使用、可能な限りのベスト・サウンド――とうたっているがウソッパチなので注意を要する。

②リパッティの代表盤の一つ。
 所有盤はフランス製のLP。ついでながら、CDももっているものの(東芝のHS-2088によるリマスター盤)、これは派手な音造りで、奥行きがなく、しだいに聴き疲れがしてくる。よくないCDだ。

③ソロモンの気品とダンディズム。
 写真は英初期盤。ジャケット・デザインはカッサンドル工房。

④コルトー&フリッチャイによる凄絶ライヴ。
 なにか熟れきったものがボタボタと落下するさまが思い浮かぶ。現役CD(グリーンドア音楽出版盤)は音質がさらに改善されているという。

⑥ウェンディ・チェンのおそらくデヴュー盤。
 彼女については以前、ショパン集のCDを愛聴盤として採りあげた。
 バックをつとめるトーマス・ザンデルリンク(※クルトの息子)がやや陽気すぎるのがよくも悪くもあり、チェンのテクニックも万全とは言いがたいが、このピアニストの指から発せられるきらめきに惹かれる。

 ⑤と⑦はごく最近入手した。

⑤リパッティと同じルーマニア出身のピアニスト、ルプーの名演。
 これをベストとする人も多い高人気盤。聴いて納得。今さらながらランクイン。録音もいい。

⑦美人ピアニストとして人気のグリモー。
 同曲にしてはめずらしく華やか、陽光の明るさがある。そこに惹かれた。


 ないものねだり(あるいは怖いもの見たさ)としては、フジ子・ヘミングが弾けばおもしろそう。
 ほかにも名盤はあるに違いない。
 アルゲリッチ、ピリス、ブレンデル、なども聴いたが、私的には上掲盤に劣る。


 では、投票所へ行くとしよう。

 

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2009年7月12日 (日)

ウェンディ・チェンのショパン

Wendyc3

 アメリカのピアニスト、ウェンディ・チェンのショパン・アルバム。
 愛聴盤である。
 好きな『舟歌』入り、という、それだけの理由で買ってみたら大当たりだった。
 バラード4曲、アンスピ&大ポロなどもすばらしい。
 録音優秀。

 チェンはロサンゼルス出身。15歳時にプレヴィン&ロス・フィルをバックにデビューを果たした。
 過去に来日もし、大阪でも演奏したらしいが、私は当時そのことに気づかず、聴きのがしている。


 ◆CHOPIN - BOLERO   Wendy Chen (p)

   ボレロ作品19
   ヘクサメロン変奏曲ホ長調
   バラード第4番作品52
   バラード第3番作品47
   バラード第2番作品38
   バラード第1番作品23
   舟歌作品60
   アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ作品22

   ( RCM 19702  CD-USA )

 
    

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2009年6月24日 (水)

雨のうた

Rain0258

 先日、ラジオを聴いていたら、つのだ☆ひろさんの番組で、〝雨の昭和歌謡〟というのをやっていた。すてきな曲をたくさん聴けた。
 で、自分なら……と、思いつくままならべてみました。

 track 01: 『雨にぬれても』 B.J.トーマス
 track 02: 『RAINY DAY』 山下達郎
 track 03: 『テンダーレイン』 尾崎亜美
 track 04: ヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』
 track 05: 『氷雨』 佳山明生
 track 06: 『そして僕は途方に暮れる』 大沢誉志幸
 track 07: 『雨だれ』 太田裕美
 track 08: 『みずいろの雨』 八神純子
 track 09: 『雨』 中司雅美
 track 10: 『雨の物語』 イルカ
 track 11: 『さようならの世界』 森山良子
 track 12: 『雨に泣いている』 柳ジョージ&レイニーウッド
  …………

 なんとかLP1枚分。
 案外、浮かんできませんねェ……。嫌いな曲なら、あるんですけどね。
 忘れてるのもありそうですが、とりあえずこの12曲。(※一部、YouTubeより貴重映像拝借)

 01、私的最高雨唄。
 02、『JOY』に収録のLIVE VERSIONを好む。
 03、アルバム『プリズミイ』に収録。なかなか泣かせます。
 04、ブラームス作曲。名盤多数。ボベスコ、ヴィルコミルスカのをよく聴きますね。
 05、淡々とした曲調がいい。歌詞も◎。演歌っぽくないオリジナル、佳山版を愛す。
 06、♪もうすぐ雨のハイウェイ~。ヒットから10年ほど過ぎたころに好きになった。今はiPodに入れてます。
 07、『木綿のハンカチーフ』より好きだった。
 08、『思い出は美しすぎて』が猛烈に好きだが、これもいい。
 09、中司雅美は高校の後輩だそうで。悪くないですヨ。
 10、『なごり雪』とならぶ名歌。
 11、マイナーな唄も、及川恒平&小室等。高校生のころ愛読していた『青春改札口』というマンガに出てきた。
 12、♪Weep in the rain.... カッコよかったなァ……。

 中村あゆみの『翼の折れたエンジェル』もいい唄でした。
 どうやら最近、〝昭和歌謡〟という一つのジャンルが確立されつつあるらしい。
 たしかに、いい唄がたくさんありましたねえ。
 

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2009年5月16日 (土)

音楽には感動がある。

Atad
 
 ある日の朝刊にオーディオテクニカの広告。あたりまえの言葉に、ふと、感じ入った。
 あたりまえのことさえ、声や文字にされないと気づきにくくなっているのだろうか。
 愛用ヘッドフォンはAテクニカ製ではないが、iPod用イヤフォン、モノラル・カートリッジなどでお世話になっております。

 ところで新聞は朝日。隣は有名な『天声人語』である。深代サンのころにくらべると、かなり落ちとるね。
 

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 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

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2009年4月14日 (火)

鈴木さんの『マタイ受難曲』

Suzuki090412200_2 鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハの『マタイ受難曲』を聴いた。

 鈴木さんの『マタイ』を実演で聴くのはこれが3回目(※CDでもなじんでおり、特別な親近感をおぼえているのか、なぜかしら〝さん付け〟でないと呼びにくい)。
 ただし、今回のは通常版とは異なる、メンデルスゾーン版というもので、歴史的作曲家として著名なメンデルスゾーンが1841年に、埋もれたままになっていた『マタイ』を復活上演したときのヴァージョンという。メンデルスゾーンは、この偉大かつ巨大な作品が認知されていない当時の状況を考え、随所にカットを施したり、楽器変更するなどの〝効率化〟を図り、演奏した。

 それでも2時間半ほどかかっていたのではないか。
 たしかに、好みのアリア(52番など)が聴けぬこともあったとはいえ、終演後にそのことへの不満は残らず、私には、「マタイを聴いた」という実感が充溢していた。
 メンデルスゾーンは『マタイ』をスリム化しはしたが、その力を削ぐことはなかった――ということだろう。

 ソリスト陣も充実していた。身びいきかもしれないが、私には日本人のお二人、アルトの加納悦子さん、バスの浦野智行さんの歌唱が、とくに心に響いた。加納さんの51番レチタティーヴォ、浦野さんの裏切りの場面の迫力など、今も忘れがたい。


 すばらしい音楽だ……。
 あらためて、そう思わされ、その想いが夜中まで浮沈を繰り返したことである。
 

 date and place: 2009年04月12日(日) 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

 

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2009年4月 2日 (木)

ブラームスの交響曲第1番

Bra158

 名曲シリーズ――。
 ブラームスの『第1』。

 私の場合、この3盤。
 コンセプトは当然異なるとはいえ、聴かせ方はよく似ている。いずれもライヴ・レコーディングであり、重厚、ティンパニが炸裂しまくりの、まさに聴き手の内蔵をふるわせるような演奏ぞろい。

 上から順に紹介する。
 バルタン星人は地球を乗っ取ろうと画策、ウルトラマンにやられてしまう。その後しばらく経ってから、その仲間であるか子孫かがふたたび現れる。が、やっぱりやられてしまった。昭和40年代のことである。私は彼がやられるところをリアルタイムで観ている。

 フルトヴェングラー&北ドイツ放送響は、彼最高の〝ブラ1〟として定評あるもの。ほかにもルツェルン祝祭管との録音などもいい。
 しかし、彼のブラームスは、この『第1』よりも『第2』がさらにすさまじく(たとえば1945年盤)、また戦前のベルリン・フィルと組んだハンガリー舞曲第1番が空前絶後の名演であることも押さえておきたい。

 宇宿&フィルハーモニアTokyo盤は、一部熱狂的ファンをのぞけばなじみのないディスクと思われるが、このブラームスはまったくすばらしい。当然、日本人指揮者による最高の演奏である。明らかにフルトヴェングラーを意識した芸であるが、それが真似事にとどまっていない。
 ところで、またしてもこの日の会場に〝ブラボー・バカ〟がまぎれこんでいる。いわゆるフライング・ブラボーである。
 ……なんとかならんかネ。
 音楽が空気に融けこんで消えてゆくあと数秒が、なぜ待てない? こういうアホにはもう、猿ぐつわでも噛ませておくしかない……。
 なお、この前日の演奏がDVDで出ている。

 ベーム&バイエルン放送響の重厚もフルトヴェングラーに一脈通ずるものがある。彼の〝ブラ1〟は、数種の音源が出まわっている模様であるが、どうやらこれ、バイエルン放送響とのものがもっとも燃えているらしくある。カップリングはグルダとのモーツァルト『ジュノム』で、こちらも名演。

 三者横一線であるが、録音なども考慮し、強いて序列をつけるなら、

  宇宿>フルトヴェングラー>ベーム

となる。
 宇宿はもっぱら東京限定で活動している。たまには関西に登場してもらいたいものだ。
 ナマで聴いたのは2度。1度は、なんと中学生のときの校内音楽鑑賞会であった。もう1度はこれも古く、20年以上前、箕面市民会館でベートーヴェンの『第9』を聴き、これが最後となっている。
 宇野功芳ですら大阪までやって来て冗談のような指揮をしている(※私はおもしろがっているが)のをみれば、宇宿允人などはその前に呼ばれていなければならないはずだ、と思わざるをえない。

Casalsbaton15  入手難の裏名盤としては、指揮者カザルス&プエルト・リコ祝祭管弦楽団盤。どうせ海賊CDRで出ているか。これまたライヴ。
 まことに芝居がかった個性的なブラ1である。

 後続の第2グループは、ミュンシュ&パリ管弦楽団、メンゲルベルクあたりか。
 最近、テンシュテットのライヴが2種出て(シュトゥットガルト放送響、ロンドン・フィル)、かなり期待していたものの、実際に聴いてみると、彼にしては意外におとなしく、不足感が残った。


■ Johannes Brahms: Symphony No.1 in c minor, Op.68

  宇宿允人 / フィルハーモニアTokyo ( 東京芸術音楽協会 MUCD-017 CD )
  Whilhelm Furtwangler / NDR Symphony Orchestra ( TAHRA FURT-1001 CD )
  Karl Bohm / Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks ( ORFEO C 263 921 B CD )
 Pablo Casals / Festival Orchestra of Puerto Rico ( BATON BATON-1004  LP )
 

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 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO
 


 【シャコンヌ狂時代】 斎藤アンジュ玉藻 Tamamo Ange Saito ( Sa )
 【やぶにらみ映画評】 『大日本人』( 2007 )(た)

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2009年3月 5日 (木)

メンチャイ

Hudecek29 Tretyakov29

 ひさしぶりにメンチャイを聴いた。

 クラシックを多少なりとも好きな人には説明を要しないだろうが、そうでない方には、なんのこっちゃわからんだろう。「だれや、それ。タイ人か?」と、そんな声が飛んでくるかもしれない。
 これはタイ人ミュージシャンの名ではなく、メンデルスゾーン&チャイコフスキーの略。
 アナログの時代には両作曲家によるヴァイオリン協奏曲をレコードの裏表にしたのが人気だったのである。
 この種の黄金の組み合わせは、ほかにベートーヴェンの『運命』とシューベルトの『未完成』というのがあって、人気の点では、むしろそっちのほうが上だったかもしれないが、〝ウンミカ〟とかそんな略称で呼ばれることはなかった。

 両曲とも、クラシックではきわめてポピュラーな作品だ。名盤が多数出ているが、私の好きな演奏は、〝メン〟は旧チェコスロヴァキアのフデチェック、〝チャイ〟は旧ソ連のトレチャコフ、となる。
 ちなみに今年(2009)、メンデルスゾーン生誕200年ということです。

 フデチェックのメン・コン(※これまたメンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトの略)は、FMラジオからエアチェックしたやつを、中学から高校を卒業するころまで聴きつづけていた。
 写真(左)のLPは、数年前、ひさしぶりに聴きたくなって手に入れたもの。案外、かんたんに手に入った。人気がないからだろう。CDでもいっとき出ていたようだが、すでに廃盤のようである。
 フデチェックのヴァイオリンは繊細で、まじめな学生ふうであるが、バックをつとめる老匠スメターチェクがえらくはりきっていて、ひじょうに愉しい。第3楽章冒頭のティンパニをかなり強く鳴らしているのが記憶に残っており、それをこのLPであらためて聴いて、ひどくなつかしかったものである。


 一方の〝チャイ〟、これはトレチャコフのデビュー当時の録音を最高としている。
 これについてはコチラですでに触れたので詳細は略。
 レコードについて記しておくと、ずっと日本ビクターが発行した国内盤で聴いていたが、あとになってメロディアのオリジナルを手に入れた。写真(右)がそうである。
 これを上まわるチャイ・コンにはまだ出会えていない。


 二人とも、これらをレコーディングしたのは20代前半。そして、聴いていた私は10代だった。


 Mendelssohn: Violin Concerto in e minor, Op. 64
  Vaclav Hudecek (vn)  Vaclav Smetacek & Prague Radio Symphony Orchestra
  ( panton 11 0511  LP )

  Tchaikovsky: Violin Concerto in D major, Op. 35
  Victor Tretyakov (vn)  Neheme Jarvi & Moscow Philharmoic Symphony Orchestra
 ( MELODIYA C 01683-4  LP )
 

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2009年2月15日 (日)

バッハのシュープラー・コラール

Walcha58

 普段はあまり聴かないが、突然聴きたくなるのがオルガンである。

 バッハの6つのコラール(シュープラー・コラール)BWV645-50――。
 まったく愛すべき曲集だ。
 私的には華やかなコルゼンパの演奏を好んでいるが、今夜は渋いヴァルヒャを選んだ。20歳くらいのときに買ったLPである。

(※ご存じない方のために記しておくと、このヘルムート・ヴァルヒャ( 1907-1991 )は、盲目のオルガニスト。この分野ではものすごく有名な人で、バッハのオルガン全集録音を二度も達成している。すなわち、膨大なバッハ作品を丸暗記していらっしゃるのだ。すごいでしょう。私がここで聴いているのは2回目の録音です)

 ちいさいころ、TVの天気予報のBGMでBWV645の旋律が使われていたため、聴くたびに関西地方の天気図が頭中にチラリと浮かぶことになっている。また、その番号が「大化の改新」の年号と同じなので、それを憶えさせられたころを思い出したりもする。

 バッハのオルガンといえば、「世界でもっとも有名な曲」とされる〝トッカータとフーガニ短調〟となるのかもしれないが、私は好きじゃない。どころか、私は、あれはバッハの作ではない、と本気で信じているのである。あの曲には、どうしてもバッハのにおいが感じられない……。


 J.S.Bach: Schüblerschen Choräle für Orgel, BWV645-650
  Helmut Walcha ( org )
 ( ARCHIV-Japan  MA-5092  LP )
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

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2009年1月16日 (金)

名手健在

Tsh58
 ↑ザ・シンフォニーホール。私的最愛ホール。ここでタツローを聴く気にはなれぬが。
 

Tsh09011558
 

Tsh090115258
 

 東京都交響楽団ハーモニーツアー 2008→2009 in Osaka and Hokkaido を聴いた。
 コンチェルトでソロをとるのがウト・ウーギと知り、チケットを押さえたものである。
 彼が2004年にローマでやったリサイタルのライヴ盤が出ている。やや陰りがみえるような気がしていた。
 が、ゆうべは違った。
 終楽章では足を踏みならす場面もあるなど、まさに気魄のステージだったのである。
 まったくすばらしいチャイコフスキーであり、アンコールのパガニーニ(※カプリース。それも第24番)がなおみごとだった。
 ウーギ……さすがだ。

  ブラームス ハンガリー舞曲第1番
  チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
  ドヴォルザーク 交響曲第9番『新世界』

 指揮はレオシュ・スワロフスキー。チェコの指揮者。
 ファゴット奏者の父とピアニストの母の間に生まれる――と、略歴にはあるので、名指揮者ハンス・スワロフスキーとは、すくなくとも直接には無関係のようである。
 メインは彼の棒によるドヴォルザークの『新世界』で、ウーギの名演を聴いたあとで、あとがもつのか……と案じもしたが杞憂に終わった。
 スワロフスキーは堅実で、説得力に満ちた演奏を聴かせてくれた。
 都響の弦セクションがしっかりしているため、なかなか腹にこたえるブラームス、ドヴォルザークだった。
 アンコールはドヴォルザークのスラヴ舞曲第10番。
 大当たりの一夜、というよりほかはない。

 このひと月で4つのコンサートを聴いた。山下達郎×2、ヒラリー・ハーン、そして都響(ウーギ&スワロフスキー)。すべて◎とツイている。 


 ところで――。

 今回のコンサート、B席で2000円だった。それでも空席がチラホラ。欠席者を勘定に入れても、売れ残ったチケットがあったとみられる。
 会場で配布されたチラシのなかに、ポリーニのリサイタルのものがあった。最上の席で25000円。おそらくこれでも瞬間的完売であろう。
 昔、ホロヴィッツが来日して50000円。結果は、周知のとおり、「ひび割れた骨董」だった。
 ポリーニも人間である。好不調はある。25000円出して、「期待はずれだった」では、シャレにならんのではないか。
 もはや、大物演奏家のコンサートは富裕層ご用達と化してしまったようであるな。
 私はかつて、ベルリン・フィルやウィーン・フィルのコンサートで、着物姿でめかしこみ、船を漕いでいる有閑マダム風を何人も目撃しているのであるが……。

 がめついのは本人か、あるいは仲介人か。
 それともガイジンには、まだなお、「ニッポンジン、カネモチネ」「ナンデモ、ブラボーネ」の感覚がドタマにこびりついているのか。「ブラボー」についてはそのとおりかもしれぬが。

 高すぎるよ。 (※ちなみに、上で触れた4つのコンサートの入場料の合計は22000円である)
 

 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC
 place: The Symphony Hall, Osaka

 

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2009年1月13日 (火)

ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル

Hahn58bw
 

 注目のヒラリー・ハーンを聴いた。
 とくに高域の清澄な音色がすばらしい。しかし、今回のプログラムは、彼女の魅力を全開させるには渋すぎたかもしれない。
 イザイ(無伴奏第4&6番)、アイヴズ(ソナタ第1、2、4番)、ブラームス(ハンガリー舞曲集)、バルトーク(ルーマニア民族舞曲)――というもの。ハッキリいって、胸がときめくものではない。ハーンでなければ、まちがいなくスルーしていた。

 私的にはアイヴズの第2ソナタがよかった。
 アンコールはパガニーニのカンタービレ、ブラームスのハンガリー舞曲第5番(再演奏)。

 よそではバッハ無伴奏の第2ソナタ、エルンストの『夏の名残のバラ』をやったようだ。両者とも私的愛惜曲で、なんでこっちでやらんのか、と腹が立ちもしたが、これらをもうすぐディスクで聴けることを願って待つことにする。
 私は聴き終えて、なんとなく、「彼女にはシューベルトがよさそうだ」と想った。幻想曲、ソナチネ……聴いてみたい。

 終演後、サイン会があり、それこそ長蛇どころか長龍の列ができていた。意外だった。
 今日の聴衆の反応が今イチであり、物音をたてたり、無遠慮に咳きこむのが何人もいるなど、マナーの悪さを感じていたからである。「演奏なんてどうでもええ。有名人やから来たんや」という人種がすくなからずいたのかもしれない。
 私は、サインを求めることはあまりしないのだが、今回は別。はしたなくもならんで、いただいた。なにしろ相手は天才ですから。
 伴奏のリシッツァも、評価の高いピアニストであることを記しておかねば気の毒であろう(※私はイダ・ヘンデルの伴奏をつとめたCDをもつのみであるが)。


 ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル ~於兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

  

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2008年12月14日 (日)

掘り出しもの - 漆原朝子のスペイン交響曲ほか

Imcj58

 ひさびさに掘り出しもの。
 なにげなく立ち寄った梅田の中古屋で発見した。
 今はなき日本国際音楽コンクール(imcj)における実況録音盤4LP。入賞者らの演奏を記録したもので、けっこう長いあいだアンテナを張っていたのだった。
 CDでも出ており、そちらが頭にあったのだが、LPで見つかるとはビックリ。

 このときの出場者の顔ぶれがすごい。漆原朝子、高田あずみ、久保田巧、千住真理子、渡辺玲子の名がある。みなさんが第一線で活躍中だ。
 このうち、入賞したのは漆原(※優勝)と高田だった。久保田巧や渡辺玲子の落選が、妙なことながら、えらくハイ・レヴェルな印象を与えている。久保田のレコードしたバッハ無伴奏は歴代でもトップクラスの演奏であるし、渡辺はヴァイオリニストとして、超一流と躊躇なくいえる存在となっている。

 私がこのセットをさがしていたのは、優勝者・漆原朝子の弾くラロのスペイン交響曲、トルチンスキーという現在無名(?)のヴァイオリニストによるバッハの無伴奏ソナタ第2番に興味をもっていたからだった。
 漆原のラロについては、その後、彼女は同曲を、演奏はしているようだが、録音はしていない。彼女がCDにしたバッハのパルティータ全曲は私的愛聴盤である。

 審査員の豪華さにも驚かされる。オドノポソフ、ベズロドニー、ヴィルコミルスカ、江藤俊哉、豊田耕児……らが名を連ねている。私は各人のディスクをもっているが、どれもすばらしく、まことに、主催者の眼力と意欲に敬服するほかはない。
 しかし、この国では、どうにも文化というゼニにならんものには関心がないらしく、このimcjはいつの間にやら廃止となってしまった。

 また、こうした才能ある若い演奏家たちの記録を、レコードとして残したフォンテックの勇断も評価されなければならない。おそらく、これが売れて儲かるなどとは露ほども思っていなかったろう。
 

 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC

 

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2008年12月 7日 (日)

お宝テープをCD化 - ボベスコのブラームス/ヴァイオリン協奏曲

 以下、いささかマニアック、また結果的に、独善的、自慢めいた話になる。さらに冗長である。つい気が入ってしまった。何卒ご容赦ください。


 先日、がらくたをまとめた段ボール箱のなかから、古いカセットが出てきた。
 HITACHIの"LOW NOISE C-90"(すなわち90分テープ)。ケースはない。ハダカのままだ。
 これには記憶があり、たしか、昔のアニメの主題歌が入っていたはず……と、なつかしがって、カセットデッキにセットして再生してみたところ、果たしてそうであった。
 ところが、ずさんきわまる管理だったせいで、テープが傷んでおり、音はボロボロ。鑑賞に堪えるものではなくなっていた。
 そこでにわかに、ほかのテープが気になりだした。とくに音楽番組を録音した(※いわゆるエア・チェック)もののなかには、1回コッキリの放送でソフト化もされず、聴く手段がそのテープのみ、というのがある。

 真っ先に頭に浮かんだのが、ローラ・ボベスコの大阪公演をエアチェックしたカセットテープだった。ブラームスの協奏曲が入っていた。
 ひじょうに貴重な記録だ。というのは、彼女はこの曲にもっとも自信をもっていたにもかかわらず、ついに正規録音を残さなかったからである(※プライヴェート盤が出ていたが、全3楽章完演ではなかったはずで、たしか第1楽章が欠けていた)。
 もしかすると、あれも悲惨なことになっているのではないか……。

 私はあわてた。なにしろ、だいぶ長いこと再生していない。しかも、C-120(120分)に入れてあった。
 C-120というのは、長いテープを巻いてもかさばらないようにするため、テープ厚を薄くしてある。したがって、テープの強度が落ちており、結果、切断・変形などのトラブルを起こしやすいという弱点をもつ。
 片面に1時間番組を途切れ目なく録れる長所があるかわり、そういった短所をも併せもっているわけだ。
 このボベスコのブラームスも、当時、朝日放送でやっていた『百万人の音楽』という、およそ1時間の番組をまるごと録ったものだった。

 試聴してみた。20数年ぶりの音である。
 放送では、演奏の前に司会の芥川也寸志&野際陽子と、ゲストの山口勗氏によるトークが入る。
 それを聴いていると、途中でとんでもないワウが発生したりする。それでも人の会話であるから、内容が聴きとれれば、まずはよい。
 だが、それが音楽となるとそうはゆかぬ。

 いったん停めて、テープを調べたら、案の定だ。いわゆるワカメ状になっている。
 すでにして再生にたえられるかが危惧される状態といえた。場合によっては、2回目のプレイバックは無理かもしれない。
 そこで、のっけからパソコンにつなぎ、デジタル化しつつ聴くことにした。
 かかってくれれば、まだマシだ。途中でテープがちょん切れたりすれば万事休す。そんな思いで再生ボタンを押した。
 祈るような思いで聴きつづけていると、だんだんワウの発生率が下がってきたようだった。音の乱れがたまにしか起こらなくなってきた。
 と突然、テープが停止した。ふたたびカセットをチェック。テープがからまったり、切れたりはしていない。どうやら、一部テープどうしがくっついていたようだ。そこで、できるだけ刺激を与えたくないところを一か八かで、最初まで巻き戻し、さらに早送りと巻き戻しをして、テープ全体をほぐすことにした。
 これが奏功したようで、今度は途中で停止することなく、最後まで再生できた。

 さいわいなことに、肝心の演奏中、音の崩れは数度きりにとどまり、胸をなでおろす。
 AMから録った。音は悪い。当時はステレオ放送はおこなわれていない。
 それでも、ボベスコのヴァイオリンは、ダイナミックレンジのせまいモノラル音声をものともせずに届いてきた。その音色は彼女ならではのもの。気品にあふれ、みずみずしく、優雅であたたかい。そして、しなやかだ。ときとして慟哭するような哀しい叫びがある。
 演奏者と曲名のアナウンスがあり、そこで録音は終わっていた。

 このテープ、あと何年も放置していたら、と思うとゾッとする。
 音はすぐさまCDRに焼きつけた。こちらも寿命については未知数とされるが、カセットのままよりかはずっと安心感がある。
 とりあえずは、ひと安心か。

 この日の演奏をフィリップスがレコードにするつもりだったが流れた、と聞いた。テープは残っているに違いない。フィリップスにやる気がないのなら、Altus、OTAKEN、OPUS蔵、グリーンドア……どこでもいい、発掘に乗り出してくれぬものか。

 ボベスコは2003年9月に亡くなった。
 私が彼女の死を知ったのは、その日よりすくなくとも数ヶ月経過してからのことだった。日本のマスコミは彼女の死にまったく無関心だったのである。
 当時、追悼盤が出た記憶もない。どころか、彼女の死後、新盤(新発見盤)といえば、プライヴェート盤で出ていた〝サロンコンサート〟の復刻、バーバー、ヴュータンの第5協奏曲がそれぞれほかの演奏のフィルアップとしてリリースされたにすぎない。
 ただ死の前年、TDKが売り出したリサイタル盤は快挙と言っていい。
 ヴュータンの第5協奏曲といえば、来日時にNHK交響楽団との協演があった。電波に乗ったので、録音なり映像なりが残っているはずである。
 来年にも、そのCDなりDVDなりを手にできることを願っている。

 最後に――。
 貴重な録音をカセットテープで架蔵しておられる方は多いだろう。ただ保管してあるだけ、という私のようなズボラな人は、今一度チェックされることをおすすめしておきたい。


 【関連項】……『ボベスコのこと』(おもに上記コンサートの思い出話です)→

 
Bobescocdr58
 ↑CDRの完成。手塚幸紀&大阪フィルとの協演。ディスクナンバーは"FeFeFe's Bar lb-02"とした。"lb-01"は同日に演奏されたベートーヴェンで(※これも放送された)、そちらはだいぶ前にCDR化済。
 ちなみに、カセットテープは日立マクセルの"UD C120"。音楽用ではないようだ。
 まあしかし、写真だけなら、カルロス・クライバーの『第9』だって可能なワケで……(苦笑)。


  Brahms: Violin Concerto in D Major, Op.77
  Lola Bobesco(vn)  Yukinori Tezuka / Osaka Philharmonic Orchestra
  ( FeFeFe's Bar lb-02  CDR )
  ※まことに申しわけありませんが、この音源の譲渡・貸出等はできませんので念のため。
  

 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC

 

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2008年11月30日 (日)

beethoven "the emperor"

Ff58
 

 フルトヴェングラーに対する日本人の熱狂ぶりはすさまじく、その度合いは世界でもダントツに違いない。
 あきれるほどくわしい人がネット上には多数存在している。
 ワタシメもファンではあるが、彼らにくらべれば赤ん坊レヴェルだ。同演異盤を買い漁るようなこともなく(※〝バイロイトの第9〟は何種かに手を出したが)、そういうことに積極的な方々の分析結果を待つ側にいる。
 かつては日本フルトヴェングラー協会の会員だった。しかし、何度か頒布CDを買わなかったら、会員からはずされてしまったようである。また入会しなおせばいいのかもしれぬが、最近は協会以外からも良好な音質のCDが出ていて、むしろそっちのほうがよかったりして、もはや協会盤に以前ほどの神通力はなくなったような感じもあり、ほったらかしにしてある。

 11/30はフルトヴェングラーの祥月命日にあたる。そんなことをいちいち思い出すのは、自分の誕生日の翌日だからである。
 このベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』は、「巨匠の演奏としては」それほど評価は高くないようだ。
 だが私にとって、『皇帝』の名盤としてまず思い浮かぶのがこれであり、たしかに彼らしさは鳴りをひそめているものの、この演奏が輝かしいのはやっぱりフルトヴェングラーの力が加わっているからだと考えざるをえない。
 彼でなければ、これはもうすこし小型の『皇帝』になっていたろう。

 フィッシャーのピアノが美しい。第2楽章など、硬質な音色が哀感を帯びた旋律にマッチしている。打鍵の一々が魅惑の光を放ち、まるで星のようだ。
 彼の残した仕事のなかでは、バッハの平均律クラヴィーア曲集がもっとも偉大なものだろうが、演奏としてはこの『皇帝』がよい。この音、この調子で平均律を入れなおしてくれていたら……と惜しまれる。

 私的には、『皇帝』は目下のところ、これとミケランジェリの演奏(ジュリーニ&ウィーン響、チェリビダッケ&フランス国立放送管の2種)があればいい。
 現役奏者では、アルゲリッチが入れてくれれば……という望みをもっている。


 Beethoven: Piano Concerto No.5 in E flat major "The Emperor"
 Edwin Fischer(p)  Wilhelm Furtwangler / The Philharmonia Orchestra
 ( HIS MASTER'S VOICE  ALP 1051  LP )


 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC

 

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2008年11月26日 (水)

晩秋の候 - ムローヴァ&K.ラベック "RECITAL"

Si58

 秋の夜長、ラフロイグをやりつつ、聴く。

 ストラヴィンスキーのイタリア組曲、シューベルトの幻想曲、ラヴェルのソナタ、クララ・シューマンのロマンスを収録。
 なかでもストラヴィンスキー『イタリア組曲』は好きな曲で、このCDを買ったのも、それが目当てだった。ヴァイオリンだけに着目すればボベスコのパフォーマンスがベストだが、デュオとなると、この別嬪コンビが俄然、浮上してくる。

 二人のコンビネーションが抜群。
 とくに、ストラヴィンスキーとラヴェルにおける、ラベックの自由奔放なピアノは最高で、もう100点満点をやりたいくらいである。すばらしい。

 このあと、このコンビによるディスクが出ていないし、その予告もない。ケンカでもしたか? だとすると惜しいのう……と決めつけずに、今しばらく待ってみましょう。

 録音秀逸。ヴァイオリン、ピアノともに鮮明、かつうまく融合している。

  VIKTORIA MULLOVA(vn) - RECITAL - KATIA LABEQUE(p) ( ONYX 4015 )
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)
 

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2008年10月29日 (水)

酔っぱらいのみた星空

Ohyasky580_2
 ↑中央、梢のあたりにオリオン座。
 

Ohyasky02580
 ↑シルエットはNTTの中継所。


 気の置けぬいつものメンバーで、今年4度目のオッサン・キャンプ。
 キャンプ場は貸し切り。呑んで騒いで午前1時となる。
 見上げると星が出ていた。テントにもぐりこむ前に、夜空へレンズを向けてみた。


 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC
 place: 兵庫県猪名川町大野山(おおやさん)キャンプ場


 星空をみるとかならず思い出すCDです。↓

  Eduardo Egüez: The Lute Music of Johann Sebastian Bach  - volume one

 

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2008年9月 1日 (月)

ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ

Jackie000s_2

 映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』を観た。
 映画を鑑賞したところで、「ほんとうの」ジャクリーヌ・デュ・プレがわかるはずもない。われわれには、ディスクを通じて聴く彼女の演奏がすべてだ。だがある意味、それこそがほんとうのデュ・プレといえるかもしれない。映画のストーリーはいくらでも変えられるが、彼女の残した演奏の記録はだれにも変えられないのである。

 これほどの奔放と情熱、若さは、かつては――すくなくとも今ほど――めずらしくはなかった。しかし、地球の温暖化と反比例するかのように、人々の心は冷え、そして醒めてきている。
 今だからこそ、聴かれるべき演奏家の一人ではないか。
 彼女の代表盤は人それぞれにあるだろう。私はエルガーとドヴォルザークの協奏曲を挙げたい。同じ意見の人も多いに違いない。

 Dvorak: Cello Concerto  Celibidache / Swedish rso.  (TELDEC  CD)
 Elgar: Cello Concerto  Barbirolli / BBC so.  (TESTAMENT  CD)

※本館のウェブサイト内、【やぶにらみ映画評】につたない感想掲載しています。ご笑覧ください。


 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2008年8月13日 (水)

mozart k.364

K364bd02570

 モーツァルト
 協奏交響曲変ホ長調K364
 バリリ(ヴァイオリン) ドクトル(ヴィオラ) プロハスカ指揮 / ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 ( WESTMINSTER  WL-5107  LP )


 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

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2008年8月 1日 (金)

ravel orchestral works

Ravelmml570

 クリュイタンスのラヴェル。
 LPより、コンパクトなCDが似合う。ケースを開くとき、秘密の小箱をあけるようなときめきをおぼえる。

 耳かきをしていて、ふと聴きたくなる。
 マ・メール・ロワから始める。
 ダフニスとクロエで終える。
 聴き終えて、呑みたくなる。
 …………
 それにしてもこの余韻。
 魔法です。

 ※ジャケット・デザインは、(たしか)カッサンドル。 
 (TOSHIBA CD)


 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

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2008年7月28日 (月)

berlioz symphonie fantastique

Dutoitsf58

 ベルリオーズの幻想交響曲――。
 デュトワのクリアでシャープな演奏は好きなものの一つだ。
 LPで聴いた。
 CDももっている。両者に音質的な差はそれほどないだろう。が、こうしてジャケットをならべてみますと……LPのほうがいい音しそうに「見える」。
 (LONDON  LP)

 SONY α350
 MINOLTA AF24-85mm F3.5-4.5

 

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2008年7月27日 (日)

Arvo Pärt "ARBOS"

Partarbos570

 20代、部屋にクーラーなんぞなかった。 
 熱帯夜。渇きを覚えて目がさめる。ちょうど今のような時季だ。
 冷たい水がうまい。だがそれだけでは足りない。音楽をかけてふたたび倒れる。

 夏だから聴くのか。聴くから夏なのか……。
 いつのころからか、熱帯夜にはコレになってしまっている。
 で、1年ぶりに、アルヴォ・ペルト〝アルボス〝。

 ペルトは一時、ブームのようになった。今はたくさんのディスクがそろっているようだが、これと〝TABULA RASA"があればいい。いずれも初期のアルバムである。
 (ECM  CD)


 SONY α350
 TOKINA AT-X 100mm F2.8 MACRO

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2008年7月26日 (土)

beethoven symphony 4

Kleiberbee4

 暑すぎる……。
 無意識に手が伸びたカルロス・クライバーのベー4。
 暑さと二日酔い。氷水をガブガブ飲みながら聴く。

 クライバーの棒には、仰々しい重さがなく、スピードとメリハリ、パンチ力がある。格好良さではナンバーワンです。
 白熱的演奏も、鑑賞後感は爽快。二日酔いも吹っ飛んだ……となればなおよろしいのであるが。
 (ORFEO CD)

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