音楽

2009年10月29日 (木)

900000000円

 名ヴァイオリニストのアーロン・ロザンドが愛器のグァルネリウスを手放した――というニュースがあった。
 音楽家生活から引退するのだろうか。82歳というから、そういうことなのかもしれない。あるいはすでに引退していたのかもしれない。
 彼のグァルネリウス・デル・ジェス〝コハンスキ〝は1741年製作、歴史的名器として知られていた。

 その買値が9億円。史上最高額という。
 これについては、その時代のレートというのがあるから、一概には言えないが、昨今の世界的不況を考慮すれば、実質的にもダントツの史上最高ではあるまいか。

 グァルネリウス・デル・ジェスというのは、グァルネリ一族というヴァイオリン製作の名門があり、そのなかでも名人とされたバルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリが造ったヴァイオリンをさす。
 日本人演奏家では、五嶋みどりがデル・ジェスを使っている。

 ジュセッペ・グァルネリは、ストラディヴァリとならんで、史上最高のヴァイオリン製作者とされている。
 伝えられるところでは、実直なストラディヴァリに対し、グァルネリは酒好きの女好きでだらしのないところがあったという。そんなエピソードを聞くと、私などは、グァルネリのほうに親近感を抱いてしまう。

 こういうのは、買い手が値段を決めるものだろうから、これを高いとか安いとか言うのは筋が違っているだろう。
 ともかく、この〝コハンスキ〝が、美術品扱いされて、「すぐれた」(※ここが大事)演奏家の手から遠ざけられないことを願うばかりである。

 私はクラシック音楽に親しみ、なかでもヴァイオリン音楽を好んで聴いているが、実は、いまだに楽器の音がわからない。レコードやCDを聴いて、それがストラディヴァリウスであるかグァルネリウスか、あるいはグァダニーニであるか、聴きわける自信はゼロである。
 わかるのは、それが「いい音」であるか、「そうでない音」であるか、だけだ。
 しかし、クラシックにうるさい人のなかには、「さすがはストラディヴァリウスだ」とか「グァルネリならではの……」とかそんなことを言っている人がいる。わかる人にはわかるらしい。

 話を元に戻すと、私はヴァイオリンを売ったロザンドの演奏が聴けるCDやDVDをもっている。
 その900000000円の音が入ったディスクがいくらかというと、2枚組のCD(写真右下)で2000円、DVDは香港製で10ドル、すなわち1000円足らずだった。

 ウナギ屋の前を通りかかる。高級ウナギ自体はいい値段であるが、匂いはタダだったりする。
 品のないことを想像してしまった……。

 
Rosand


 ※写真にうつっているヴァイオリンが9億円のグァルネリ・デル・ジェス。ロザンドの演奏も楽器に負けていない。とくに、写真下のバッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータはオススメです。なにしろ2000円ですからお買い得。今後は、〝史上最高額ヴァイオリンによるバッハ!〟――などという惹句がそえられるかもしれませんね。
 

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 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

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2009年10月28日 (水)

キース・ジャレット - 《ケルン・コンサート》

Keithkoln25
  

 先だって、キース盤をならべた。
 だが、これを抜きにしてキースは語れまい。

 すべて即興という。
 信じがたいほどであるが、ストック・フレーズをためるだけためて一気に吐き出したとしても、これだけのものができるとも思えぬ。
 まさに奇跡の名盤だ。

 20歳のころ、バイク事故を起こし、ひと月ほど入院した。そのとき、同じ病室にいたSさんに教えてもらった思い出深いディスクである。
 病院のベッドの上で、Sさんから借りたカセットを、これまた友人から借りたウォークマンで毎夜毎晩聴いた。
 ひと足先に退院が決まったときに、Sさんはそのカセットをプレゼントしてくれた。もちろん、今でももっている。
 大きな出会いだった。Sさんとは退院後、音信不通となってしまったが、私はこの《ケルン・コンサート》をいまだに聴いている。

 ちなみに、私が初めてCDプレーヤーを買おうと思ったきっかけは、この《ケルン・コンサート》がCD化されていることを知ったことだった。(※初版CDでは、パート2Cが未収録だった。) 

 夜に聴きたい。
 北海道を旅する。森のなかで焚き火をやりながら、これを聴く一夜が、かならずある。
 今年は行けなかった。
 LPをターンテーブルに載せ、ひさしぶりに聴いた。

 目を閉じて耳をかたむける。
 あの病室を思い出す。
 そして、自分はいつしか大雪の森のなかにいる。
 しあわせなんて、すぐそばにあるじゃないか。
 そんなことをつぶやく。


 ■ Keith Jarrett(p) "THE KOLN CONCERT"
   ( ECM 1064/65  LP-W.GERMANY )

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 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

 以下はウンチク――。
 超有名盤――というより、もはや歴史的名盤――なので今さら付記することもない。ただし、これを聴く場合、できることならCDよりもLPがよく、そしてその場合は、絶対にドイツ盤を採るべきであることを言っておきたい。

 アメリカ盤はテープ転写が激しく、冒頭部分など、ゴーストが2、3度聞こえてから実音が聞こえだす。日本盤(トリオ・レコード)でもゴーストが1度聞こえる。オリジナルのドイツ盤にそうした瑕疵はない。音にしても、やはりオリジナルの強みでドイツ盤がもっともいいような気がする。
 CDがなぜよくないかというと、音質面で不満はないものの、編集に問題があるからである。
 「LPにおける第3面の冒頭」が欠落しているうえ、にもかかわらずなにもなかったようにつなげてしまっており、まったく修正されぬまま今に至っているのだ。理解しがたい。 

 

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2009年10月27日 (火)

トニー・ベネット 《ベネット/バーリン》

Tonnyberlin025
 

 トニー・ベネットがアーヴィング・バーリンの100歳の誕生日を祝し、バーリンの唄だけで一枚のアルバムをつくった魅惑盤。
 だれ知らぬ者もない『ホワイト・クリスマス』も入っている。
 また、4曲目の"Now It Can Be Told" は、映画『あなたに降る夢』の挿入歌に使用されている。

 全盛期のパワーはないものの、さすがはベネット。枯れた味わいがすばらしい。まさにおとなの味である。
 ゲスト・プレイヤーも超豪華で、デクスター・ゴードン、ディジー・ガレスピーが参加。とくにデクスターが渋い。

 これだけのアルバムにも難点がある。
 収録時間がみじかいことだ。たったの30分しか聴けない。
 これはアンマリでっせ……。

 とにかく、これにはウィスキーだろう。
 呑みすぎ注意盤とも言える。

 日本盤のタイトルは《トニー・ベネット・シングス・バーリン》。


  ■Tonny Bennett(vo) "Bennett/Berlin"
    ( COLUMBIA CK44029  CD-CANADA )
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)

 

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2009年10月26日 (月)

谷村新司&小川知子 『忘れていいの -愛の幕切れ- 』

Tackey3
 

 昨日の菊花賞――。
 当ブログでも記したとおり、遊び半分でフォゲッタブルという馬に目をつけた。
 それが、あわや優勝か、というような走りをみせ、2着に突っこんできたのである。
 7番人気での2着であるから、これはあっぱれと言ってよろしかろう。
 複勝は550円。上等だ。
 買うてへんので関係ないですけどね。
 というか、買わんから当たるんですな。
 買うたらハズレとったはずや。
 と、思うことにして……。

 テレビ観戦したあと、いつしか耳の奥で歌が聞こえていた。
 それが、

  こちら

 だった。

 ……とまァ、おかげで、ステキな唄を聴くことができた。
 若かりしころ、これをスナックのお姉サマとうたったことを思い出して、ニタリとできた。
 そして当時は、この歌詞の内容をよくわからずにうたっていたことにも気づいた。
 ウマでコテンパンにやられたあの時代を思い出すことができた。

 でも、ちょっとクヤシイ気も……(笑)


 それはさておき――。

 では、フォゲッタブル、次走は買いか……?

 短距離はムリっぽいので、条件さえととのえば、ジャパンカップか有馬記念になるのだろう。
 しかし、古馬相手に通用しそうな迫力はなかった。それに、菊花賞を観た印象では、4着に入ったイコピコのほうが力は上だろう……などと考えていたら、また歌が聞こえてきた。

  ♪忘れていいのよ、私のことなど~

 ややっこしい名前だ(forgettable=忘れてもいい)。
 そう謙虚にこられると捨てにくい。

 買わんとは思うが、えてしてこういうのが来よるんだ……ホンマ。
 

 Canon Power Shot A530
 place: hyogo
 ※写真と文は無関係です。モデルは愛犬タッキー。


 【シャコンヌ狂時代】 エリザベス・ウォルフィッシュ Elizabeth Wallfisch ( W )

 

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2009年10月23日 (金)

キース・ジャレット・トリオ 『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』

Keithstvol2cbw
 
 キース・ジャレット・トリオによる傑作シリーズ、《スタンダーズ》の第2集。
 私の◎印は、3曲目(『イン・ラヴ・イン・ヴェイン』)と4曲目(『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』)。
 どっちか、となれば4曲目、"Never Let Me Go"――。

 若かりしころ、酔って帰ると、なぜかしら、これを聴きたくなったものだ……って、今もそうですけどネ。

 そのままなら、「行かせないでくれ」だが、原曲の歌詞をみると、「見捨てないで……」というニュアンスのようです。


 ■ Keith Jarrett Trio - "Standards, Vol. 2"
    Keith Jarrett(p)  Gary Peacock(b)  Jack DeJohnette(ds)
    ( ECM J33J-20045  CD-JAPAN )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2009年10月22日 (木)

キース・ジャレット 《メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー》

Keithmanwy5
 

 気取りもなく、自己陶酔的奇声もない。
 いつものような、情熱をほとばしらせる彼ではない。
 おどろくほど内省的である。
 しかし、これもやっぱりキースだ。

 一曲一曲がまことに愛らしい。名工の手による小さな木彫細工のようである。
 もちろん、それぞれがそれぞれのかたち、表情をもっている。

 夜、酒とともに――もいいが、昼下がりにコーヒー飲みながら――でも悪くない。

〝珠玉〟と呼ぶにふさわしいスタンダード集です。
 

  ■Keith Jarrett (p) "The Melody At Night, With You"
    ( ECM UCCE-9206  CD-JAPAN )
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2009年10月18日 (日)

漆原朝子さんのシューベルト

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 漆原朝子さんのシューベルトを聴いた。
 あんな優美なヴァイオリンは、30年前に聴いたボベスコ以来かもしれない。
 ちょうど今、街中にただよう、キンモクセイの香りのようだった。
 朝子さんも、シューベルトも。

 会場を出ると激しい雨。
 傘を持たずに来ていた。
 しばらくの雨やどりも、まったく苦にならない。
 その余韻は、まるで花の残り香だった。

 よかった……。
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)
 place: 兵庫県川西市の《みつなかホール》

 

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2009年10月17日 (土)

北村大沢楽隊 《疾風怒濤 !!!》

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 《疾風怒濤 !!!》
 "STURM UND DRANG" old times brass band 
  北村大沢楽隊
   ( off note ON-57  CD-JAPAN )


 数年前、たまたま、テレビ(CS)のニュース番組で、ローカルな話題としてこの楽団を紹介しているのを観た。
 その5分か10分かの時間、私はテレビの画面に釘付けになり、そのあとも、すごいものに接した感激がしばらく醒めず、呆然となったものである。

 CDが出ているらしい。即オーダーした。

 届いたCDが鳴りだしてほどなく、私はあまりのうれしさに吹き出してしまっていた。
 エンタメの原点、音楽の原石のようなものがそこにはあった。そして〝ニッポンの元気〟のようなものも。
 そうしてそれらが、まるで崖の落石のようにゴロゴロと転がり落ちてきて、その一つ一つがことごとく私の心臓を直撃したのである。

 これを聴いて、音程がどうの、ヘタクソだのなんのと言うのは無粋というものであり、そういうひとには、音楽というものをわかってはれへんな、と強引なことを言ってしまいたい。
 魂だ。それでじゅうぶんではないか。
「耳で聴くな。身体で聴け」とでも言いたくなるような音楽である。

 ここでは、適当なカテゴリーがないので「ジャズ&フュージョン」にふっておいたが、ほんとうはこのアルバム、そんなものは超越してしまっている。強いていえば、〝ジャパニーズ・フォルクローレ〟とでもすべきかもしれない。
 なにしろ、音楽の原石なのだから。

 演奏は北村大沢楽隊。
 メンバーは、宮城県石巻市の北村大沢地区において、普段は農業に従事する男たち。
 楽隊結成は大正時代にさかのぼる。ここまでにメンバーの入れ替わりがあったが、そのスピリッツは冷めることなく受け継がれてきた。
 ディスクでは、彼らに目をつけた《ちんどん通信社》のメンバーも演奏に参加している。
 音楽の合間に、たとえばこんなやりとりが聴かれる。

  ちんどん通信社・林氏 「今のはなんて曲ですか?」
  楽隊メンバー 「わがんね(わからねえ)」


 帯にある「コノオトコタチ、過激ニシテ愛嬌アリ」のコピーが秀逸。
 「過激にして愛嬌」はそのとおりと思うが、私はそれ以上に、彼らの音楽が運んでくる、どことなくのどかな、なつかしい空気に惹かれる。
 ジャケの写真がまた表裏ともにカッコいい。内容とも、メジャーレーベルが忘れてしまったこだわりを感じさせている。

 このディスク、聞くところによると、音楽雑誌で、〝0点〟をつけられたそうな。
 けっこうじゃないか!

 廃盤にしたくないCDだ。

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2009年10月 7日 (水)

今井美樹  "retour"

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"retour" ( 1990 )
 歌 / 今井美樹
     ( FOR LIVE FLCF-31078  CD )


「今井美樹のような」――。
 そうたとえるしかないようなすてきな歌声がいい。そこに生まれる空気感がいい。そのやさしい雰囲気につつまれる感覚がいい。

 たとえば、岩崎宏美が、そのカヴァー・アルバムで今井美樹の『PRIDE』をうたっている。
 岩崎宏美は超一流であるが、やっぱりこの唄は今井美樹でなければ、響いてこない。
 今井美樹のうたう唄は今井美樹のためにできている。『PEACE OF MY WISH』など、ほかの歌手がうたえば、説教がましく聞こえてしまい、私ならディスクを放り投げかねない。

 ただ、"Lluvia"に続くアルバム"flow into space"で、私自身はほのかな違和感をおぼえた。そして、"A PLACE IN THE SUN" で、自分が求めているものから離れてしまったな、という決定的なものを感じ、それを最後に、彼女のアルバムは買っていない。
 したがって、私の愛聴するのは、主に、90年代前半までの彼女となり、もっているのは11枚。ライヴ盤が欠けている。会場の熱気など必要ないのでは……と考えて見送り、そのままになった。
 いずれにも魅惑曲がふくまれていて、1枚もはずすことはできない。アルバム〝retour〝 は代表として挙げたにすぎません。
 
 デビュー・アルバムの "femme" から5枚目の"mocha" まではアナログが存在。
 "mocha"は、時代がCDにほぼ移行しとげたらしき時期に出たため、プレス枚数もすくないようだ。私もアナログでもっているのは最初の4枚まで。
 特別愛惜ナンバーを思いつくまま列挙すると、『夏をかさねて』 『黄色いTV』 『retour』 『野性の風』 『Lluvia』 『笑顔』 『とっておきの朝を』 『flow into space』 『半袖』 『瞳がほほえむから』 『PEACE OF MY WISH』 『9月半島』……まだまだある。

 サラリーマン時代――。
 ゴールデンウイークがひと月後にせまり、私は会社に対し、GW10連休を要求した。出勤は暦どおり、と聞かされたからである。
 大型連休を利用して北海道に行くつもりだった。その会社に就職したおかげで、毎年続いていた北海道行が、前年にとぎれていた。
 先輩社員からは、みんなをはたらかせておいて自分は休みか、と至極当然な顔をされたが、意に介さなかった。
 結局、休みまで毎週土曜出勤など、あれこれ交換条件を提示され、それらをすべて受け入れることで手を打った。
「すんませんなァ」
 私は笑いをこらえながらそう言い、その場でフェリー会社に電話を入れ、チケットを押さえた。

 GWの北海道はメチャメチャ寒く、内陸部は残雪がどっさりであり、雪上にテントを張らされたりもした。キャンプ場はどこもかしこもガランとしていて、心細いことこのうえもない。
 今なら願ったり叶ったりのシチュエーションであるが、当時はまだ年季が足りなかった。
 酒と音楽が心強い相棒だった。その音楽も、クラシックやジャズには手が伸びない。私が聴いていたのは、人の歌声ばかりであり、その中心となっていたのが山下達郎、そして今井美樹だった。
 焚き火の前でホットウィスキーをやりつつ、同じカセットを毎夜、繰り返し聴いていた。時代はすでにCDになっていたが、電池の消耗度の低さでカセットのほうがまだ圧倒的に優位だったのである。

 カセットは、やがてCDになり、今やオーディオ・プレーヤーになった。しかし、キャンプで聴く音楽はほとんど変わっていない。
 今でも北海道に行くと、今井美樹の『retour』なんかを聴きながら、あの正味一週間のうち5日間が雨だったゴールデンウイークを思い出したりする。

 キャンプの夜に、バッハやベートーヴェンがなくてもかまわない。だが、今井美樹がなければ困る。もし、聴けないとなると、ヘタすりゃ、キャンプ自体を中止することになる。
 


 【シャコンヌ狂時代】
 アリーナ・イブラギモヴァ Alina Ibragimova ( I )  クリストフ・ポッペン Christoph Poppen ( P )

 

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2009年10月 5日 (月)

autumn harvest 2009 - great performances

Autumnh62 

 仲秋の候――。
 
 先週末、予約していたディスクが届いた。
 新譜をこれだけまとめて買うのは初めて。じっとしておれぬようなディスクが、ほとんど同時に登場、優先順位をつけることができなかった。
 まさに、収穫の秋というほかはない。すべて◎。

  ①ミケランジェリ&バレンボイムのシューマン(ピアノ協奏曲)
  ②イダ・ヘンデル&ラトルのシベリウス(ヴァイオリン協奏曲)
  ③ポリーニのバッハ(平均律クラヴィーア曲集第1巻)
  ④イブラギモヴァのバッハ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲)

 ミケランジェリの弾く、シューマンのピアノ協奏曲。好きな演奏家と曲の組み合わせであるためにじっとしておれなかった。
 ミケランジェリが生前、リリースをしぶったせいで、お蔵入りになっていたという。つまり〝死人に口なし盤〟である。ライヴ録音。
 演奏家本人と聴き手の見解はしばしば一致しない。私にとっては、これなどもその一例となる。
 ミケランジェリの演奏は色彩感に富み、きわめて明快。むずかしい字、むずかしい表現を使わず、しかも説得力がある……そんな名文のおもむきがある。
 バレンボイム&パリ管は、まるでベートーヴェンかブラームスかのようなスケールの大きさで、これは好みのわかれるところかもしれない。
 もしかすると、この大仰さがミケランジェリの気に障ったのか……。
 両者のコンビネーションにやや難ありの感もないではないが、できあがったものが圧倒的であり、結果として大きな感動を呼び起こした。
 録音も申しぶんない。
 カップリングのドビュッシーも名演。

 イダ・ヘンデルが昔、ベルグルンドと組んで残した旧盤を愛聴しているだけに、じっとしておれなかった。
 1993年のライヴ。
 名演だった旧録音に劣らぬデキだ。ラトル&バーミンガム市響もいい。
 カップリングはエルガー。ヘンデルはこの曲も過去にボールトと録音していた。こちらは旧録のほうがやや上か。

 ポリーニは超人気のピアニストであるが、私的にはさほど興味をもっていない。つもりが、ベートーヴェンを中心に、ディスクはけっこうもっている。実は好きなのかもしれない。
 ともかく、彼が平均律を入れたと聞くと、じっとしておれなかった。
 リヒテルの名盤を彷彿させる音楽性満点のバッハ。実際、よく似ている。そうとう弾きこんでいるように感じる。気合いもかなりのもの。グールドばりのうなり声も聞こえてくる。
 今回は第1巻のみであるが、おそらく第2巻も早晩出てくる、と想いたい。

 アリーナ・イブラギモヴァが、自身のウェブサイトでずっと前から「2009年の09月に出しますよ」と予告していたもの。その約束がどうやら守られると知り、じっとしておれなかった。
 今年はすでに、アッカルド、ムローヴァによる無伴奏の注目盤が出ているが、私的期待度では、このイブラギモヴァはムローヴァよりも大きかったものである。
 そして期待どおりのものができあがってきた。
 アッカルド盤を「デジタル最高の無伴奏」と少々興奮気味に決めつけたが、魅力という点ではこのイブラギモヴァのバッハも劣っていない。バッハの無伴奏をこれほどチャーミングに、しかもていねいに弾いた例は、これまでほとんどなかったのではないか。
 録音もすばらしい。実音と残響が混濁せず、絶妙にブレンドされている。 
 これはまさしく、大きな〝収穫〟だった。


  J.S.Bach: The Well-Tempered Clavier Book 1, BWV846-869
     Maurizio Pollini (p)
     ( DG )

 Schumann: Piano Concerto in a minor, Op. 54
     Arturo Benedetti Michelangeli (p)  Barenboim / Orchestre de Paris
      ( DG )

  Sibelius: Violin Concerto in d minor, Op. 47
     Ida Haendel (vn)  Rattle / City of Birmingham Symphony Orchestra
      ( TESTAMENT )

  J.S.Bach: Sonatas and Partitas for solo violin, BWV.1001-1006
     Alina Ibragimova (vn)
      ( hyperion )

 

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2009年8月30日 (日)

シューマンのピアノ協奏曲

 8月、シューマンのピアノ協奏曲をよく聴いた。その総括。
 あれもこれもと私的7選(①をのぞいて録音年代順)。

Schumannarrau28
Schumannlipatti28 Schumannsolomon28
Schumanncortot Schumannlupu
Schumannchen Schumanngrimaud

◆Schumann: Piano Concerto in a minor, Op. 54

  ①アラウ(p) サバータ&ニューヨーク・フィルハーモニック ( 1951 LIVE )
    Arrau(p) Sabata / New York Philharmonic
   ( NIPPON COLUMBIA OZ-7547-BS  LP-JAPAN )
  ②リパッティ(p) カラヤン&フィルハーモニア管弦楽団 ( 1948 )
    Lipatti(p) Karajan / Philharmonia
   ( COLUMBIA FCX 322  LP-FRANCE )
  ③ソロモン(p) メンゲス&フィルハーモニア管弦楽団 ( 1956 )
    Solomon(p) Menges / Philharmonia
   ( HMV ASD 272  LP-UK )
  ④コルトー(p) フリッチャイ&ベルリン放送交響楽団 ( 1957 LIVE )
    Cortot(p) Friscay / Berlin Radio Symphony Orchestra
   ( MELODRAM MEL18018  CD-ITALY )
  ⑤ルプー(p) プレヴィン&ロンドン交響楽団 ( 1973 )
    Lupu(p) Previn / London Symphony Orchestra
   ( DECCA 466 383-2  CD-GERMANY )
  ⑥チェン(p) トーマス・ザンデルリンク&ロンドン・フィルハーモニック ( 1997 )
    Wendy Fang Chen(p) Thomas Sanderling / The London Philharmonic
   ( CASTLE COMMUNICATIONS MAC CD 910  CD-ENGLAND )
  ⑦グリモー(p) サロネン&シュターツカペレ・ドレスデン ( 2005 )
    Grimaud(p) Salonen / Staatskapelle Dresden
   ( DG 4775719  CD-CANADA )
  

①アラウ&サバータ盤がわれにおいて最高。
 写真は日コロムビア発行のLP。CDなら、同じソースを使用しているはず(※未確認)の米Music & Arts盤を採らなければならない。ArchipelもCD化していて安価ではあるが、音がお粗末。オリジナル・ソース使用、可能な限りのベスト・サウンド――とうたっているがウソッパチなので注意を要する。

②リパッティの代表盤の一つ。
 所有盤はフランス製のLP。ついでながら、CDももっているものの(東芝のHS-2088によるリマスター盤)、これは派手な音造りで、奥行きがなく、しだいに聴き疲れがしてくる。よくないCDだ。

③ソロモンの気品とダンディズム。
 写真は英初期盤。ジャケット・デザインはカッサンドル工房。

④コルトー&フリッチャイによる凄絶ライヴ。
 なにか熟れきったものがボタボタと落下するさまが思い浮かぶ。現役CD(グリーンドア音楽出版盤)は音質がさらに改善されているという。

⑥ウェンディ・チェンのおそらくデヴュー盤。
 彼女については以前、ショパン集のCDを愛聴盤として採りあげた。
 バックをつとめるトーマス・ザンデルリンク(※クルトの息子)がやや陽気すぎるのがよくも悪くもあり、チェンのテクニックも万全とは言いがたいが、このピアニストの指から発せられるきらめきに惹かれる。

 ⑤と⑦はごく最近入手した。

⑤リパッティと同じルーマニア出身のピアニスト、ルプーの名演。
 これをベストとする人も多い高人気盤。聴いて納得。今さらながらランクイン。録音もいい。

⑦美人ピアニストとして人気のグリモー。
 同曲にしてはめずらしく華やか、陽光の明るさがある。そこに惹かれた。


 ないものねだり(あるいは怖いもの見たさ)としては、フジ子・ヘミングが弾けばおもしろそう。
 ほかにも名盤はあるに違いない。
 アルゲリッチ、ピリス、ブレンデル、なども聴いたが、私的には上掲盤に劣る。


 では、投票所へ行くとしよう。

 

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2009年7月12日 (日)

ウェンディ・チェンのショパン

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 アメリカのピアニスト、ウェンディ・チェンのショパン・アルバム。
 愛聴盤である。
 好きな『舟歌』入り、という、それだけの理由で買ってみたら大当たりだった。
 バラード4曲、アンスピ&大ポロなどもすばらしい。
 録音優秀。

 チェンはロサンゼルス出身。15歳時にプレヴィン&ロス・フィルをバックにデビューを果たした。
 過去に来日もし、大阪でも演奏したらしいが、私は当時そのことに気づかず、聴きのがしている。


 ◆CHOPIN - BOLERO   Wendy Chen (p)

   ボレロ作品19
   ヘクサメロン変奏曲ホ長調
   バラード第4番作品52
   バラード第3番作品47
   バラード第2番作品38
   バラード第1番作品23
   舟歌作品60
   アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ作品22

   ( RCM 19702  CD-USA )

 
    

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2009年7月 7日 (火)

Yさんとの思い出 - パット・メセニー 『トラヴェルズ』

 

Pattravels3

 

 ふと、どこかへ行きたくなる――。
 そんなときに浮上してくるのがこのアルバムだ。
 逆に、これを聴くとどこかへ行きたくなる、というものでもある。


 酒場でバイトしていた学生時代、店の客で顔なじみだった大阪大学の大学院生Yさんに連れられて、千里山(関西大学近く)の《華》という居酒屋へ行った。
 私は関西学院大の学生で、Yさんは阪大である。それがなぜか関西大エリアの居酒屋だった。バイト先からは、かなり距離があった。
 そこで、Yさんの後輩Oくんが合流した。大阪外大を中退して就職活動中という男で、その酒場からそれほど遠くないところに住んでいた。私は、Oくんとは初対面だった。
 3人で、そのころはマイナーだった芋焼酎をガンガン呑み、Oくんの部屋で続きをやろうとなった。
 Oくんの住まいであるマンションのバルコニーは、『さつま白波』の空瓶で埋めつくされていた。50本くらいはあったのではなかったろうか。

 前置きが長引いた。
 その部屋でOくんが流していたBGMがこの『トラヴェルズ』だった。

 朝まで呑んだのはまちがいないが、どうやって帰ったのかは憶えていない。
 それでもこのディスクのことを思い出したのは、自分の学生手帳に、乱雑な文字でアルバムのタイトルが書かれてあるのをあとで発見したからである。
 それを記したことも記憶になかった。だが、気に入ったという印象だけは、かろうじて残っていた。
 私はCDを買うことにした。関学の生協で購入したはずである。


 Yさんは、その後英米へ留学したらしい。だいぶ経ってから、テレビに出ているのを偶然観た。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で働いておられた。カブール事務所の所長をされているか、あるいはやめられた直後ではなかったか。911後、にわかにアフガニスタンが緊張しはじめたころで、それについて語っていらした。
 私はつい笑ってしまった。Yさんはやや酒乱の傾向があった。それがすまし顔で、深刻な問題について淡々と解説していたからだった。

 Yさんの引っ越しを手伝ったことがある。私のほかに、何人か友人らがかり出されていた。男一人分とはいえ、書物の量がハンパではなかった。その夜もやっぱりあの《華》へ行った。
 またある日の夜遅く、店にYさんが来て、今からウチで呑むから来い、と言う。私はバイトが終わってから、Yさんのアパートへ行った。
 宴会が始まっていた。阪大の学生が5、6人おり、みなおとなしく呑んでいた。すると、酔ったYさんが突然、腹を立てはじめた。「おまえら、暗いんじゃ!」、そう言って一人の学生をげんこつで殴ったりした。
 私は阪大とは無縁で、いわば彼らの輪の外から来た人間だった。おもろいとは思ったが、このまま傍観するわけにもいかない。
 だれも止めそうにないので、私がYさんを羽交い締めにして抑えた。するとYさんがまた怒った。私にではない。むしろ、私はほめられた。「身体をはって止めるんはこいつだけや! おまえら根性ないんや!」と学生らに向かってわめきちらした。たしかに、我関せず、といった感じの連中だった。
 卒業したら(※そのころは卒業するつもりでいた)記者になるつもりだ、と言うと、これくらい読んでおけ、と言って、林達夫や、宮武外骨の本をくれたりした。
 ロバート・B・パーカーの『愛と名誉のために』をすすめられたりもした。主人公が、酒に酔ってベロベロになるシーンがある。私はカウンターでYさんが『火宅の人』(壇一雄著)を読んでおられたのを記憶している。のんべとはそういうものなのだろうと今、思う。

 そんなことを思い出すと、やたらなつかしくなって、なんとか連絡をとりたいと思い、あちこち電話してみたが、自分がどこの馬の骨やらわからぬせいか、埒が明かない。そこで、世話になっていた新潮社の編集者に、UNHCRへ電話を入れてもらった。新潮社の看板なら、という計算があった。
 しかし、「Yさんがどこにいるのか事務所でもわからない」とひどく合点のゆかぬ回答で、埒が明かぬことに変わりはなかった。
 後日、朝日新聞(関東版)の「ひと」欄にYさんが出たのを知った。朝日新聞社に電話し、あれこれと事情を話して、Yさんのメールアドレスを教えてもらった。今ほどには、個人情報の管理にうるさくなかったようである。
 私はメールを送ってみた。しかし、返事はかえってこなかった。

 その後しばらくたってからだったか、『カブール・ノート』というYさんの本が出て、評判になっていた。版元の幻冬舎の人間とは名刺交換程度ならやっていたが、それだけで「たのむワ」とは言いづらく、『カブール・ノート』についても、そのうち手にしようと思いつつ、そのままになってしまった。


 いろんなひとと遇った。
 忘れてしまった出会いもあるだろう。
 Yさんのことを忘れられないのは、芋焼酎の魅力を教えてくれた人だからである。当時は、イモ愛飲派はごく少数で、芋焼酎自体を置いていない店も多かった。
 それを勧められて、呑むようになった。
 あれから20年が経つ。
 ネットで検索してみたら、Yさんは現在、国連の関係機関の職員をされているようだ。
 もはや、連絡をとろうとは思わない。お元気であればそれでいい。


 『トラヴェルズ』のことをさらりと書くつもりが、豪快に脱線した。
 人生はトラヴェルズ――。
 人と出会い、音楽と出会う。
 あの日、あの人と出会わなければ、この曲とも出会っていなかった――そんなことがあるものだ。

 ひさしぶりにこのアルバムを聴きながら、焼酎あおってみますかネ。
 そしてオレは、やっぱりどこかへ行きたくなるんだろうナ。


 ◆トラヴェルズ / パット・メセニー・グループ・ライヴ (ECM J58J 20083/4 CD-JAPAN)

 

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2009年7月 1日 (水)

まぼろしの酩酊盤

Aho01sq

 昼間っから呑み、どうやって帰ったのか……。
 翌日、カメラをチェックすると上の画像が飛び出してきた。
 どうやら、クルマのミラーを写したものらしい。
 そういえば、撮ったような気もする。
 どうしょうもない。
 

 SONY α350
 SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC
 place: ?

 ※『酔って候』……詞 / 曲 柳ジョージ 歌 / 柳ジョージ&レイニーウッド

 

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2009年6月24日 (水)

雨のうた

Rain0258

 先日、ラジオを聴いていたら、つのだ☆ひろさんの番組で、〝雨の昭和歌謡〟というのをやっていた。すてきな曲をたくさん聴けた。
 で、自分なら……と、思いつくままならべてみました。

 track 01: 『雨にぬれても』 B.J.トーマス
 track 02: 『RAINY DAY』 山下達郎
 track 03: 『テンダーレイン』 尾崎亜美
 track 04: ヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』
 track 05: 『氷雨』 佳山明生
 track 06: 『そして僕は途方に暮れる』 大沢誉志幸
 track 07: 『雨だれ』 太田裕美
 track 08: 『みずいろの雨』 八神純子
 track 09: 『雨』 中司雅美
 track 10: 『雨の物語』 イルカ
 track 11: 『さようならの世界』 森山良子
 track 12: 『雨に泣いている』 柳ジョージ&レイニーウッド
  …………

 なんとかLP1枚分。
 案外、浮かんできませんねェ……。嫌いな曲なら、あるんですけどね。
 忘れてるのもありそうですが、とりあえずこの12曲。(※一部、YouTubeより貴重映像拝借)

 01、私的最高雨唄。
 02、『JOY』に収録のLIVE VERSIONを好む。
 03、アルバム『プリズミイ』に収録。なかなか泣かせます。
 04、ブラームス作曲。名盤多数。ボベスコ、ヴィルコミルスカのをよく聴きますね。
 05、淡々とした曲調がいい。歌詞も◎。演歌っぽくないオリジナル、佳山版を愛す。
 06、♪もうすぐ雨のハイウェイ~。ヒットから10年ほど過ぎたころに好きになった。今はiPodに入れてます。
 07、『木綿のハンカチーフ』より好きだった。
 08、『思い出は美しすぎて』が猛烈に好きだが、これもいい。
 09、中司雅美は高校の後輩だそうで。悪くないですヨ。
 10、『なごり雪』とならぶ名歌。
 11、マイナーな唄も、及川恒平&小室等。高校生のころ愛読していた『青春改札口』というマンガに出てきた。
 12、♪Weep in the rain.... カッコよかったなァ……。

 中村あゆみの『翼の折れたエンジェル』もいい唄でした。
 どうやら最近、〝昭和歌謡〟という一つのジャンルが確立されつつあるらしい。
 たしかに、いい唄がたくさんありましたねえ。
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

  

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2009年5月21日 (木)

他に望むものはない - 岩崎宏美 『人生の贈り物』

 
  父ありて明ぼの見たし青田原
           ――小林一茶


 ちょうど2年前の05月19日に親父は死に、その2日後――すなわち2年前の今日――、北邙(ほくぼう)の煙と化した。


 数日前の深夜のことである。
 自動車の運転中、カーラジオでNHKの『ラジオ深夜便』を聴いていた。
 流れてきた歌に引きこまれた私は、クルマを路肩に停め、エンジンを切り、耳をかたむけた。
 岩崎宏美さんの歌だった。

 そして、今なお心のかたすみに消え残っていた、無念だったのではないか、という想いが、この歌を聴いて、かならずしもそうではなかったのかもしれない……という明るいものに変化するのを感じたのだった。
 私はしばらく、そこを動けなかった。

 すぐにCDを取り寄せた。
 亡父の祥月命日にこの歌を聴きつつ、一杯の酒を呑むことができたことに、心の底から感謝している。


  『人生の贈り物 ~他に望むものはない~』  詞 / 楊姫銀  訳詞・曲 / さだまさし  歌 / 岩崎宏美

   季節の花がこれほど美しいことに
   歳を取るまで少しも気づかなかった
   美しく老いてゆくことが
   どれ程に難しいかということさえ気づかなかった

   もしも もう一度だけ若さをくれると言われても
   おそらく 私はそっと断るだろう
   若き日のときめきや迷いをもう一度繰り返すなんて
   それはもう 望むものではない
   それが人生の秘密
   それが人生の贈り物
   …………
   私の人生の花が散ってしまう頃
   やっと花は私の心に咲いた

   並んで座って 沈む夕日を一緒に眺めてくれる
   友が居れば 他に望むものはない
   それが人生の秘密
   それが人生の贈り物
 

 ※詞は中略。歌はアルバム"Dear Friends IV"( Imperial Records, TEICHIKU ENTERTAINMENT INC. TECI-1232 )に収録されています。


 

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2009年5月16日 (土)

音楽には感動がある。

Atad
 
 ある日の朝刊にオーディオテクニカの広告。あたりまえの言葉に、ふと、感じ入った。
 あたりまえのことさえ、声や文字にされないと気づきにくくなっているのだろうか。
 愛用ヘッドフォンはAテクニカ製ではないが、iPod用イヤフォン、モノラル・カートリッジなどでお世話になっております。

 ところで新聞は朝日。隣は有名な『天声人語』である。深代サンのころにくらべると、かなり落ちとるね。
 

 SONY α350
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

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2009年5月 3日 (日)

RCサクセション 『トランジスタ・ラジオ』 - 追悼 忌野清志郎

Rctr0158
 

Rctr58
 

 〈以下は、本館に保管していた雑文の再掲載です。〉

  ♪WOO 授業をサボッて
   陽のあたる場所に いたんだよ
   寝ころんでたのさ 屋上で
   たばこのけむり とても青くて
   内ポケットに いつも
   トランジスタ・ラジオ

   ――詞・曲 / 忌野清志郎 G.1,238, 471  編 / RCサクセション

  ……………………

  中学生か高校生らしき少年が、退屈な授業をすっぽかしてラジオを聴いている。それも国内の放送ではなく、海外放送のようである。最新のロックに夢中なのだ。はやいとこ、こんな学校出て……と大きな夢を思い描いているとも想像される。で、音楽に集中しているかと思えば、ちゃっかり彼女のことを思い浮かべたりもする。

「今から××(※教師の名)やな、天気もええし……やめとこか」
 そんなことをほざき、ツレと学校を抜け出す。喫茶店に行こうにもカネがない。で、缶ジュース買って、校庭の隅とか、近所の公園のベンチで、クソ生意気にもタバコ吸いながらチンタラする。そんな経験はだれにもあるにちがいない。

 青春をテーマにした唄はたくさんあるが、どれにもこれにも、大なり小なりつくりものくささがあるものだ。その点、『トランジスタ・ラジオ』は自然そのもので、違和感がなく、まさに着古した学生服のようなフィット感があった。
 私にとって、不滅の青春ソングである。ラジオといえば夜、と思いがちなところ、この唄は真っ昼間からラジオときた。そこもいい感じ。

 


 『トランジスタ・ラジオ』を、私の〝不滅の青春ソング〟と書いた。
 すぐれたミュージシャンはすくなくない。だが、そんな唄を残してくれるやつなんて、そうしばしば現れるものではない。

 キヨシローが燃えつきた。

 酒だ。酒しかない……。


  RC SUCCESSION: 『トランジスタ・ラジオ』 ( 1980 )
   (Kitty RECORDS 7DK 7002  EP)
 

 SONY α350
 SONY α50mm F1.4(SAL50F14)
 TOKINA AT-X AF100mm F2.8 MACRO

 

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2009年4月30日 (木)

my nostalgic 09 - 尾崎亜美さん

 ほったらかしにしてあったカメラのなかに撮影途中のフィルムが入ったままだった。
 電池切れで巻き取れなかったためである。わざわざ新電池を購入&装填するのを面倒がったのだった。
 ずっと気になっていて、今日、ついに現像に出した。DPEショップへカメラごと持ちこみ、電池が切れてるのでそっちでうまくやってくれ、とたのんだ。
 手動で巻き取ることになり、「フィルムにキズがつくかもしれん」とのことだったが、私は「いくらフタを閉じたままだったとはいえ、もうダメか……」と半分あきらめており、つまりダメモトだったので、「かまわない」と応えた。
 すると……ドッコイ、ちゃんと写っておりました。
 つまり、この写真が(今のところ)私の最後の銀塩写真ということになります。

 2003年に大阪南港のATCでおこなわれた尾崎亜美さんのミニライヴを聴いた際、撮らせていただいたものです(※当日は撮影禁止となっていないようでしたので……)。
 亜美さんがライヴをやるという情報を得、ツーリング気分でオートバイにまたがり、(最近話題の)南港ATCまで行きました。
 もっといいカットがあったのですが、その部分のネガ自体が変色、というか退色して、夜間コンサートみたいになってしまっていた……残念。
 とはいえ、これら2枚もたいがい色あせてますけども。

 第2回「音楽の祭日」ATCオズミュージックフェスティバルにて (2003年06月21日)
 

Ao9583 
 

Ao10t582

 

 私は彼女のアルバム『プリズミイ』を今でも愛聴しています。
 

 MINOLTA α707si
 TOKINA AT-X Pro AF80-200mm F2.8
 KODAK GOLD 400
 scanner: CANON LiDE 600F
 place: ATC, osaka

 
 

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2009年4月14日 (火)

鈴木さんの『マタイ受難曲』

Suzuki090412200_2 鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハの『マタイ受難曲』を聴いた。

 鈴木さんの『マタイ』を実演で聴くのはこれが3回目(※CDでもなじんでおり、特別な親近感をおぼえているのか、なぜかしら〝さん付け〟でないと呼びにくい)。
 ただし、今回のは通常版とは異なる、メンデルスゾーン版というもので、歴史的作曲家として著名なメンデルスゾーンが1841年に、埋もれたままになっていた『マタイ』を復活上演したときのヴァージョンという。メンデルスゾーンは、この偉大かつ巨大な作品が認知されていない当時の状況を考え、随所にカットを施したり、楽器変更するなどの〝効率化〟を図り、演奏した。

 それでも2時間半ほどかかっていたのではないか。
 たしかに、好みのアリア(52番など)が聴けぬこともあったとはいえ、終演後にそのことへの不満は残らず、私には、「マタイを聴いた」という実感が充溢していた。
 メンデルスゾーンは『マタイ』をスリム化しはしたが、その力を削ぐことはなかった――ということだろう。

 ソリスト陣も充実していた。身びいきかもしれないが、私には日本人のお二人、アルトの加納悦子さん、バスの浦野智行さんの歌唱が、とくに心に響いた。加納さんの51番レチタティーヴォ、浦野さんの裏切りの場面の迫力など、今も忘れがたい。


 すばらしい音楽だ……。
 あらためて、そう思わされ、その想いが夜中まで浮沈を繰り返したことである。
 

 date and place: 2009年04月12日(日) 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

 

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2009年3月14日 (土)

山賊の唄

Lus
 

 『山賊の唄』  詞 / 田島 弘  曲 / 小島祐嘉

  雨が降れば 小川ができ
  風が吹けば 山ができる
  ヤッホー ヤッホホホ さびしいところ
  ヤッホー ヤッホホホ さびしいところ
 
  夜になれば 空には星
  月が出れば おいらの世界
  ヤッホー ヤッホホホ みんなを呼べ
  ヤッホー ヤッホホホ みんなを呼べ


 いたるところで梅が満開だ。散りはじめているところもある。
 河原などでは、すでに菜の花の黄色が揺れていたりする。夜はまだまだ冷えそうだが、そろそろフィールドへ出たいという欲求がたぎりはじめた。

 キャンプで聴く唄は莫大な数になる。しかし、口ずさむ唄はそれほど多くない。『山賊の唄』(『山賊の歌』『山賊のうた』『山ぞくのうた』)はそうした唄の一つだ。
 5番くらいまであると聞くが、憶えているのは上記2番まで。
 音楽の私的100選に入る愛惜唱歌。

 今は、自然が造りあげた山河を人間がゼニのためにくずしてまわっている。
 以下は『山賊の唄』、まぼろしの6番といわれているものである。皮肉な内容が役人の気に障り、圧力によって発禁となったというウワサであるが、定かではない。

  川があれば ダムを造り
  山があれば でっかいトンネル
  ヤッホー ヤッホホホ おいしいところ
  ヤッホー ヤッホホホ おいしいところ


【参考】
 山本さんという方がお作りになった『山賊の唄』である。 →
 石川さゆりの鼻歌……というのもあった。02:33付近で聴ける。正式に録音してくれないものだろうか。ちょっと可憐すぎるか(笑)。「さびしい」を「たのしい」とうたっている。替えたのか、間違ったのか、わからないが、これはマズイでしょう。唄の雰囲気がこわれてしまう。鼻歌に文句つけてもしょうがないとはいえ……。
 

 CANON Power Shot A530
 place: 北海道美瑛町白金野営場
 date: 2006/09
 


 【シャコンヌ狂時代】 久保陽子 玉井菜採
 

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