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2010年9月 7日 (火)

堀米ゆず子 ヴァイオリン・ワークス Ⅴ

 京都で、堀米ゆず子を聴いた。
 ピアノはパスカル・ドヴァイヨン。
 
 
  フランク ヴァイオリン・ソナタ
  細川俊夫 呪文~ヴァイオリンのための(2010)
   (休憩10分)
  フォーレ ロマンス変ロ長調
  フォーレ ヴァイオリン・ソナタ第1番
   (アンコール)
  サン・サーンス ハバネラ 
  サラサーテ カルメン幻想曲から後半(だったように思う)
 
 
 この猛暑のなかで、春風が花の匂いを運んでくるようなプログラム。
 フランクとフォーレのソナタ……およそヴァイオリン好きなら、この2曲にケチをつける者は、そうはいまい。
 ドヴァイヨンのピアノもみごとで、オール◎。
 これだけのごちそうがならんで、料金は900円。まったく、「スンマヘン」のひとことです。
 
 実を言うと、いっとき、ディスクのリリースが低調だったので、堀米ゆず子はそれなりに落ちついてしまったのか……と独り決めしていた節があった。最近はライヴ・ノーツ(ナミ・レコード)から何枚か出しているのを知ってはいても、なかなか手を出せずにいたのである。
 それが今回、大間違いだったことを思い知らされた。
 
 まず、瞠目させられたのは抜群の安定感。そのうえ、たしかな技巧、ていねいで、音楽が分厚く、メリハリが利いている。さらに典雅だ。
 温雅な音色がすばらしい。奏者と楽器の相性がいいのだろう。
 
 
 ところで――。
 最近は以前と違って、アーティストがサインに応じることが多くなった。むしろ、主催者側から「やりますよ」と呼びかけるケースが増えている。
 そして、それは(とくに言葉が通じる相手の場合)訊きたいことを訊けるチャンスでもある。
 シャコンヌ狂としては、堀米さんに訊きたいことがあった。
 
 ――いったい、バッハの無伴奏はどないなったのか?
 
 彼女は80年代に、ソナタ全集('86&'87)とパルティータ第3番('85)を入れたが、なぜかそこでやめてしまっている。パルティータ第1番、そして肝心の第2番が未録音のままである。

 「バッハの続きは、ないんですかね?」
 「続きっていうか、もう全部入れなおそうと思ってね」
 私はつい色めき、迫った。「それはいつです?」
 「さあ……2年か……3年のうちには……」
 
 ほんまでしょうね……と、思わず念を押しかかったのを抑え(※ホンマに決まってるだろうから)、お願いしますよ、と。
 
 仮に2012年に録音されるとなると、およそ25年ぶりということになり、この長い年月に蓄積されたものがすべて注入されるわけであるから、これはすごいものがもたらされる可能性が高い。
 
 

Horigome100905bach25    
 ↑とはいえ、このバッハもそうとうなものである。
 
 
 堀米さんをナマで聴くのは、実に28年ぶりだった。
 前回は、堀米さんがエリザベス王妃国際コンクールで優勝(1980)したころ。
 1982年、ザ・シンフォニーホールができ、国内の主要オケによる〝オーケストラ・シリーズ〟が開催されることになった。堀米さんは、岩城宏之&NHK交響楽団演奏会で、ソロイストとして登場。曲は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲だった。
 
 ディスクはけっこうもっている。
 エリザベス王妃国際優勝記念のシベリウス、ブラームスなどのLPから、最近出たラロのスペイン交響曲まで。非売品だが、ベートーヴェンの協奏曲などもある。
 なかでは、上述のバッハの無伴奏ソナタ集、そしてモーツァルトの協奏曲全集がすばらしい。
 
 ともかく、この日の堀米ゆず子・ヴァイオリン・ワークスⅤ――。
 満足度100%。文句なし。
 
 
 date: 20101/09/05 (Sun.)
 place: 京都府立府民ホール〝アルティ〝 seat No.: 10-14
 
 

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コメント

fefefeさん

お久しぶりです。
堀米ゆず子さんと伺い、黙って通りすぎる事が出来ませんでした。

fefefe様、ご推薦の二種のうち一種、モーツァルトのコンチェルトを先にサンドル・ヴェーグを知っていて、ヴェーグが相手に選んだ日本人という発想で、タワーレコードの企画盤CDでゲットしました。

fefefe様の記事、バッハの無伴奏が28年振りに、近々録音されるとの事。絶大な期待を私も寄せています。

投稿: miccha | 2010年9月 7日 (火) 09:53

micchaさん、どうも。

モーツァルト全集は堀米さんはもちろん、ヴェーグがいいですよね。
私は第4番が好きなんですけど、もってるディスクのなかでは堀米盤が一番。

無伴奏は私も待ち遠しいです。きっとベルギーの伝統と日本の繊細、淑やかさがミックスされたすばらしいものができあがるに違いありません。

それにしても、やはり一流は違うと思いました。
比較するのはしのびないんですが、先々月に聴いた千住真理子とは格が違う気がいたしました。まさに脱帽です。

投稿: fefefe | 2010年9月 7日 (火) 10:11

こんにちは。はじめまして。
私もこのコンサートに行きました。
素晴らしかったですね(*^_^*)

それにしてもバッハ情報、有り難く読ませて頂きました。
堀米ゆず子のバッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全集!
それも若いときでなく(もちろん若いときもフレッシュ
で良いのですが)円熟の境地に近づいた堀米ゆず子!
すげ~~~~楽しみです(ゲスな言い方でスミマセン)。
人生の楽しみが増えました。ありがとうございます。

投稿: 下手の横好きバイオリニスト | 2010年9月 9日 (木) 20:09

下手の横好きバイオリニストさん……て、失礼な感じもしますが、とりあえず、どうも。

いや、よかったですね、堀米さんの演奏。
あのリサイタルの余韻を引きずりつつ、堀米さんの今後のスケジュールをみましたところ、関東ばっかしで、関西はゼロですねえ。

堀米無伴奏には、ワタシも「スゲ~~~」期待しております。
手許の資料では、現在まで邦人による無伴奏全曲は25組出ておるようです。すべてすばらしいデキですが、堀米盤が出れば、それでも、まずベスト3、すくなくともベスト5入りはまちがいないでしょう……と、確信的に想っておりますよ(笑) 待ち遠しいですな。

またお立ち寄りください。
ヨロシク。


投稿: fefefe | 2010年9月 9日 (木) 21:26

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