千住真理子バッハ無伴奏全曲演奏会
千住真理子によるバッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲演奏会を聴いた。(於大阪《ザ・シンフォニーホール》)
一気に全6曲を演奏――その挑戦、その意欲は賞賛にあたいするだろう。
中身にケチをつけるのは無粋な気もするが、なかなか、むずかしいところがあり、あれでいいのか、これでいいのか、という疑念が払拭されないのも事実である。
人気奏者だけあって、場内ほぼ満席。
ワタシの印象を印にするとこうなる。(※演奏順)
ソナタ第1番 ○
パルティータ第1番 ×
(休憩20分)
ソナタ第3番 ×
パルティータ第3番 ○
(休憩15分)
ソナタ第2番 △
パルティータ第2番 ○(シャコンヌのみ◎)
最終のシャコンヌは気迫のみなぎるすばらしい演奏だった。
もっともよくなかったのはパルティータ第1番で、ところどころで破綻をきたしており、やるべきではなかったとすら思える。
びっくりするほどのムラで、こうなると、全曲をいっぺんにやること自体、やや無謀ではなかったか。
この曲集については、テクニックが多少劣っていても、そのほかの要素でカヴァーできると信じているし、ライヴにおいて奏者のミスをいちいち指摘するのは人間の営みを否定するも同じと考えるため、私はなるべくやらぬよう心がけている。しかし、この日の千住の技術は、許容ラインを割りこむ瞬間がすくなからずあった。
リピートについては、ほとんどカット。パルティータ第2番などは完全カットで、これが表現上の意識的な選択ならいいが、時間短縮のためなら首肯しかねる。
彼女の愛器は、ひところ話題になったらしいストラドの〝デュランティ〟。
おどろくべきは、その鳴りっぷりで、あれほど朗々と鳴り響くヴァイオリンは聴いたことがない。その響きは、ザ・シンフォニーホールの全空間を楽々と満たしていたようだ。
私のシートは、2階席の最前列、ステージに向かって左寄り(AA-11)。直接音がまるで減衰されずに飛んでくる感じがあり、最初は、PAでも使っているのかと勘ぐりたくなるほどだった。
個人的には、ひじょうに期待していただけに、心境は複雑。
ただ、彼女のバッハに対する想いはストレートに伝わってきていた。あーだこーだ言いながら、さほど不足感が残っていないのは、そのせいかもしれない。それに、広いステージ上で、ヴァイオリニストが独り、バッハを奏でる姿はやはり美しく、感動的である。
終演後、ブラボーの声が飛び、盛大な拍手……どころか、スタンディング・オヴェーションまで出たところをみると、いよいよ、私自身に問題がある可能性もある。
もしあれが彼女の実力なら、私がひいきにしている漆原朝子や渡辺玲子らとは別のグループに属する演奏家と言わざるをえないが、どうなのだろう。同い年だし、がんばってほしいのだが……。
(2010年07月10日 ザ・シンフォニーホールにて)
| 固定リンク


コメント
有り難う御座いました
素人の 私には 細かいことは 解りませんが
気合の入り方が 凄かった
特に最後のシャコンヌの前
相当気合はいっとった
私はあのシャコンヌが聞けたことで
後のビールが旨かった(昨日は二日酔いで...)
ストラディヴァリウス ええ音しとった
又お誘い下さい
投稿: K | 2010年7月12日 (月) 18:43
Kさん、どうも。
世話になったね、ありがとう。
こんなものは「感動した者勝ち」です。
だれがなんといおうと、自分の感性をたいせつにしてもらいたい。
たとえ、自分以外のすべての人が感動しなかったとしても、そんななかで唯一感動した自分を信じ、そんな自分を好きになってもらいたい。
ワタシもそうしております。
投稿: fefefe | 2010年7月12日 (月) 21:30