『軽騎兵』序曲と『おもちゃの交響曲』
スッペ『軽騎兵』序曲 & レオポルド・モーツァルト『おもちゃの交響曲』
Suppé:
"Light
Cavalry" Overture
Leopold Mozart: "TOY
SYMPHONY"
カラヤン / フィルハーモニア管弦楽団
Herbert von Karajan / The Philharmonia Orchestra
( TOSHIBA EMI AA-4501 7inch-JAPAN )
初めて興味をもったクラシック音楽が、スッペの『軽騎兵』序曲。
学校の音楽の授業で聴かされたのである。
10分にも満たぬ小品なのに、出陣、死者をとむらうシーン、そしてまた出陣――といったようなことが音楽化されているといい、なかなかドラマチックな内容である……と、そんなことを教科書と教師は語っていた。
当時は、天地真理や小柳ルミ子が人気だった。私も歌謡番組をかかさずチェックする毎日であったが、「こういうのもいいな」と軽い印象を受けたのだろう。帰宅して、『軽騎兵』のことを親父に話すと、何日かしてから、レコードを買ってきてくれた。親父はクラシックを多少聴いていたので、理解がはやかったのである。
「どこで買うてきたん?」とたずねると、「十三(じゅうそう)や」と答えた。イッパイ呑んで、土産代わりに買ってきたのかもしれなかった。
7インチの33回転盤だった。親父は「ウラの『おもちゃの交響曲』もエエ曲や」と言った。
ジャケを見ると、カラヤンなる人物が指揮をしていた。聞いたこともない。解説によると〝帝王〟と呼ばれているエライ人らしい。
しかし、親父は自分で買ってきておきながら、「カラヤンはたいしたことない!」と断じた。いいのは「ブルーノ・ワルターゆう指揮者や」ということだった。
「カラヤン」の「ラ」にアクセントを置いて発音していた。根っからの大阪人だった。
ポータブル・プレーヤーで何度も聴き、さすがに飽きてきたので、面を裏返した。
『おもちゃの交響曲』は、モーツァルトの親父が作った曲とのことだ(※)。しかし、私はモーツァルトすら聴いたことがなかったので、そんな解説にもピンとこなかった。
「モーツァルト」という名前は知っていた。音楽室に肖像画が飾ってあったからだ。シューマンという人のも飾ってあり、みんな、「シューマイみたいや」と言ったりした。スッペはなかった。
とにかく、この『おもちゃの交響曲』も気に入って、今度はこっちばかり聴き、飽きるとまた『軽騎兵』に舞いもどった。しばらくのあいだ、A面とB面を往ったり来たりした。
思えばクラシック、あれからずっと聴いている。
〝騎兵〟ゆえ、「馬」が合ったのだろうか。
ポータブル・プレーヤーてのはプラスチック製で、チャチなものだ。直径30センチのLPを載っけると豪快にはみ出した。そのまま回転した。ラジオの音とそう変わらなかった。
今はタンノイで聴いているけれど、あのころの感動を思い出すと、いくら音がよくても、つまりその「音」を愉しめる耳をもっていても、「音楽」をキャッチする心がなければ意味がない……とあたりまえのことを、あらためて思わされる。
5/19が父の命日であるが、私自身は、親父が煙になった日のほうが印象深い。5/21のことである。
快晴だった。斎場の煙突から淡い煙が立ちのぼり、その部分だけ蒼空が、かげろうのように揺れていた。「天に召される」という表現の意味するところがわかったような気がした。
※『おもちゃの交響曲』はその後、実はエトムント・アンゲラーという人の作品だったことが判っています。
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SONY α350
SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC
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コメント
はじめまして。
シャコンヌつながりで鉄さんのサイトを知り、
少し前からときどき読ませていただいています。
ぼくはブログなどでの活動はしていませんが、
鉄さんのお書きになる文章にインスパイアされて
自分でも手を染めてみようかなと思案中です。
北海道(ぼくの出身地です)、関西在住、クラシック好き...
いくつもの接点で愉しませていただいていますが
「軽騎兵」序曲、おもちゃの交響曲は、
ぼくのクラシック音楽遍歴のなかでも
とりわけ肉体に染み込んだ幼少期の記憶と結びついており、
今回はじめてコメントせずにはいられませんでした。
ところで、紹介されていたカラヤンのこの演奏、
おもちゃの交響曲では、たしか、
第3楽章のリピートは3回ではなかったでしょうか?
爽快なスピードの締めくくりに、
幼い心が沸き踊ったこと。
とてもとても、ひさしぶりに蘇りました。
投稿: ostinato | 2010年5月24日 (月) 17:05
ostinatoさん、はじめまして。
かような辺鄙なところへようこそ。
ええ、第3楽章のリピートはおっしゃるとおりの3回です。
この曲は、ほかにラジオでですが、トスカニーニのやつを聴いたことがありましてね、「カラヤンのほうがええ」と思いました。あれは、同じ曲でも指揮者によってちゃう……ということを知った最初かもしれないなァ(笑)
またこの曲、映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」でもちょこっとですが、重要な場面で使われてました。
ブログについて思案中のこと。もし開設したら知らせてくださいね。
うれしいコメント、ありがとう。
今後とも、シャコンヌ狂時代ともどもヨロシク。
投稿: fefefe | 2010年5月25日 (火) 08:18