兵庫県立芸術文化センターのジェームズ・エーネス
カナダのヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネス( James Ehnes )登場、というので聴きに行った。
注目しているヴァイオリニストの一人だ。
彼による、バッハの無伴奏、パガニーニのカプリースは、数多いこれらの曲集ディスクの第1集団に属する名演奏である。
この日は兵庫県立芸術文化センター管弦楽団(PACオーケストラ - コンサートマスター: 豊嶋泰嗣)の第27回定期演奏会であり、指揮は人気の佐渡裕。
プログラムは、
ブラームス: ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク: 交響曲第8番
というもの。
アンコールは、ブラームスの直後に、エーネスが、パガニーニ(カプリース第16番)、バッハ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番~プレリュード)。
佐渡&PACはプログラムと同じ作曲家でそろえ、スラヴ舞曲第8番、ハンガリー舞曲第5番。
とにかくエーネスを聴きたい一心であったので、なんともはや、ワタクシ、前日までドヴォルザークは第9番、すなわち『新世界』をやるものと思いこんでいた。
ドヴォ8は高校生のころ、ルドルフ・ケンペのLPをよく聴いていたが、最近はめっきりごぶさた。アンコールのスラヴ舞曲にしても、これまた高校のとき聴いたチェリビダッケ&ロンドン響においてアンコールで演奏された曲として記憶されており、個人的には、なにやらなつかしい匂いのするコンサートとなった。
私の目当ては、当然、ブラームスであった。
ところが、おのれの感度の鈍りもあるせいか、感動には至らず。
もっとオーケストラとソリストとの「やりあい」、対話でもケンカでも融和でもいい、相乗的な果実がほしい気がした。ただし、これは〝協演〟の問題であるので、エーネスへの評価を下げる理由にはならない。
また彼には、協奏曲なら、ブラームスよりも、ベートーヴェンが向いているように思えた。
感想を印にすると、以下のような皮肉なものになってしまう。あくまで私的な印象である。
◎バッハ
◎ブラームス: ハンガリー舞曲第5番
◎パガニーニ
◎ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第8番
○ドヴォルザーク: 交響曲第8番
△ブラームス: ヴァイオリン協奏曲
アンコール、つまりオマケの4曲に心を動かされた。とくにエーネスのバッハと佐渡のブラームス。
エーネスのバッハはまさに絶品で、ディスクでの印象を裏切らなかった。
佐渡のブラームスは、目に見えるような音のうねりが魅力で、最後の最後で「やってくれた」という思いだった。
私は佐渡の演奏(ライヴ)を以前に一度だけ聴き、自分には合わなかったので、ディスクを一枚ももっていない。が、彼による〝ハンガリー舞曲全集〟などが出れば手を出すかもしれない。
アーティストに対し、やたらにサインを求めぬ、という決まりをなんとなく自分に課してきたのを、今年になって2度も破った。
前回は天才ヒラリー・ハーンであるからしかたがなかった。
今回は、個人的に、ハーン以上にひいきのエーネスである。やはりしかたがない。それにエーネス・ファンというのは、まだ日本にはそう多くはいないだろうし、どうせ会場は佐渡裕ファン(※なんでも、〝サドラー〟と呼ばれるらしい(笑))が大部分であるだろうから、「おまえのファンはちゃんと(日本にも)おるぞ」ということを伝えたかったこともある。
バッハの無伴奏全曲、ブルッフの協奏曲第1番&第3番、それぞれのCDにサインをもらった。後者は、デュトワ&モントリオール響との共演という豪華版である。いずれも日本盤は出ていない(※会場に開設されたCD売場に積んであるのも、9割が佐渡裕関連のものだった)。
バッハCDのブックレットを差し出しつつ、「このバッハはホントにすばらしい!」と、つい日本語で言ってやったら、彼の横にいた人が通訳してくれた。あれくらいなら、英語で言えばよかった……。(2009年09月11日 於兵庫県立芸術文化センター)
なお、エーネスは最近、パガニーニのカプリース全曲を再録音した。旧盤のデキからすると、この曲集の決定盤になる可能性がある。今月下旬の発売見込みらしい。届くのを今から楽しみにしている。
SONY α350
SONY α50mm F1.4(SAL50F14)
| 固定リンク


コメント
はじめまして。数年前にパガニーニのCDを聞いて以来、私もエーネスさんの大ファンです。待望の来日公演ということで、今回は3日ともチケットを買っておりました。サイン会はないと勝手に思い込んでいたのですが、本日たまたまブログを拝見させていただき、慌ててCDを準備して行きました。おかげさまでサインを貰うことができました。ありがとうございます。
本日のブラームスは、3回聞いた中では一番いい演奏だったと思います。1日目はどこか硬さがあり、2日目の演奏はオケのミスもあってちぐはぐな印象を受けましたが、今日は一体感があって熱い演奏でした。余熱があってかアンコールのバッハとパガニーニは少し荒い感じでしたが(2日目のバッハは本当に息をのむ素晴らしさでした)。
パガニーニの新録音の情報もありがとうございます。私も早速探してみます。
投稿: エーネスファン | 2009年9月13日 (日) 20:48
エーネスファンさん、かような辺鄙なところへようこそ。
では、日ごとに調子があがり、3日目で「実がなった」ということですね。
バッハについては、私には、初日の演奏でもじゅうぶんOKでしたが、それが2日目にはさらに上昇……ですか。やはり、ただの男ではありませんねえ(笑)
実は、上の記事を載せた翌日、考えてみればまだコンサートがあるわけで、アンコール曲など、ネタバレになってしまった……と反省したのでしたが、エーネスファンさんがめでたくサインをもらえたということは、それなりにお役に立てたか、と多少救われた気がいたしました(笑)。
私も、エーネスファンさんほどではありませんが、彼のバッハ無伴奏を聴いて、技巧はもちろん、それ以上に内容がつまっとる……という印象を受け、それ以来、注目しています。
新パガニーニは、ムローヴァの名盤(※ラベックと組んだリサイタル盤はすばらしいですよ)などを出しているOnyxからのリリースで、海外通販店では今月末、国内ではHMVで10月初旬の入荷予定となってます。送料を含めると、値段はそう変わらないのではないかと思います。
またぜひ、お立ち寄りください。
投稿: fefefe | 2009年9月13日 (日) 23:03
はじめまして。
私も今日エーネスを聞きに行きました。
ブラームスの協奏曲、すばらしかったですが
感動には至りませんでした。何も文句つけようが
なかったのに。
でもアンコールのバッハで本当に感動しました。
(今日はパルティータ2番からジーグでした。)
パガニーニ(こちらは同じく16番)も。
本日の曲に対する感想(個人的評価)は全く同じ
だったので、私だけの感想と思っていたのが
一致してびっくりしました。
投稿: そら | 2009年9月14日 (月) 03:01
そらさん、かような辺鄙なところへようこそ。
なるほど……。
これはどうやら、佐渡さんへの共感の度合いによる、のですかな。
しかし、なんにしても、同じメシを食って、「まずい」「たいしたことない」と感じるより、「うまい」と感じる人間のほうがトクなわけですから、私たちは、「チキショー」と思うしかないスね。
エーネス、最終日は1004のジーグでしたか……ウーン、シャコンヌ狂としては、これは聴きたかったっスねえ。
中日の12日は第3ソナタ~アレグロ・アッサイであったそうです。三日とも無窮動(風)やったわけですな。
↑でコメントを寄せてくださったエーネスファンさんによると、これまたすばらしい演奏だったそうですから、なにやら、結局、エーネスの無伴奏で決まったということでしょうか(笑)
またぜひ、お立ち寄りください。
投稿: fefefe | 2009年9月14日 (月) 08:04